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「――蘭ってさ、好きな人、いる?」
聞かれたくなかった、|優華《ゆうか》だけには。
「優華が言ったら答えてあげる」
「えぇ??知ってるくせにぃ!!」
「で?誰なの?」
「.........|遥斗《はると》くん」
やっぱりそうだ。聞かれたくなかった。
「ほら、言ったよ!!はい、蘭の番」
「残念、いませんでした~」
「蘭ひどーいww」
そんなことがあった、先月のお泊り会のことを思い出す。
そう。私の好きな人は、紛れもなく、優華が好きな人――
|鈴木遥斗《すずきはると》なのだ。
誰にも言っていない。
誰にも気づかれていない、はず。
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今日は日曜日。他校での公式戦が終わり、ミーティングや片付けをするためグラウンドに帰ってきた野球少年たちは皆楽しそうにしている。
もう空は朱く染まっていて、肌寒くなってきたというのに。
遥斗と、私の弟、|蛍《けい》は野球部に所属している。
遥斗がショートで蛍がセカンド。
もともとは私も.........サードだった。