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9.念願
ついに、その日がやってきた。
コツコツと貯めてきた、汗と努力の結晶。
それこそが、彼女が『ペルソナ』世界へのチケットなのだ。
向かった先は、中古ゲーム店。
新品よりも安く、状態の良いものが見つかるかもしれない。
そんな期待を胸に、罪木は店内へと足を踏み入れた。
『ペルソナ』コーナーは、彼女にとって聖地だった。
ズラリと並んだパッケージの数々に、罪木の目は輝く。
そして、ついに目当てのプレイステーション4を中古で購入した。
「えへへ…!わ、私の…私のプレステ、です…!」
重みのある箱を抱え、罪木の心は喜びで満たされていた。
しかし、喜びもつかの間、次なる悩みが彼女を襲う。
『ペルソナ5』か、
『ペルソナ4 ジ・アルティマックス』か、
あるいは『ペルソナ3 リロード』か……。
どれもこれも、彼女が長年憧れてきたゲームたちだ。
「うぅ…ペルソナ5の、あのスタイリッシュな世界も捨てがたいし…!
でも、足立さんの、その後の物語も、すっごく気になりますし…!
ううっ、リロードも…!り、リロードもやりたかったんです…!」
罪木の心の中は、まるで『ペルソナ』のコミュを上げる際の選択肢のように。
どのゲームを選んでも、きっと後悔はないだろう。
しかし、どのゲームも、今の彼女にとっては特別な意味を持っていた。
『ペルソナ5』は、彼女を『ペルソナ』へと誘った、始まりのゲーム。
『P4U2』は、大好きな足立透の物語の続き。
『ペルソナ3 リロード』は、自分だけの『ペルソナ3』。
罪木は、ゲームソフトが並ぶ棚の前で、迷いに迷った。
その姿は、まるで現実世界で、自分の進むべき道を必死に探しているかのようだった。
「わ、私は…どのペルソナを買えばいいんでしょうか…?」