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    夏に現れたきみへ1
    
    
    
    第一章「八月、教室の片隅で」
 夏の終わりの風は、いつもどこか寂しい匂いがする。
 教室の窓から差し込む光は、日に日に柔らかくなって、風間陽翔(かざま はると)の心にも影を落としていた。
 高校三年、八月末。文化祭の準備で騒がしい教室の中、陽翔は一人、少し離れた机に座る少女を見つめていた。
 橘 澪(たちばな みお)。
 転校生として現れたのは去年の冬。声を張り上げるタイプではなく、どこか浮いていた。でも、それは孤独じゃなかった。むしろ、澪の静けさは、どこかで陽翔の胸を掴んで離さなかった。
「ねえ、風間くん。今日、放課後……少しだけ、時間ある?」
 不意に聞こえたその声に、陽翔はわずかに肩を揺らした。振り返ると、教室の騒がしさの向こうで、彼女が微笑んでいた。
「……うん。あるよ。」
 こうして、彼の“最後の夏”は、静かに動き出した——。
    
        調子に乗って長編書きました。私はバカです!おかしいなぁー?明日はテストが控えてるのになぁああ????