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意味がわかると怖い話
私は、今外を出歩いている。
現在時間11時半。真夜中だ。
でも私は大人だから、大丈夫。
昨日彼氏に振られちゃって、その気晴らし。
彼氏のこと本当に大好きだったからショックだったのかな。
いつのまにか自分の家に帰って寝てて、次の日になってた。
振られてからの記憶がないから、どうなったのかも覚えてない。
大人って仕事しなきゃいけないけど色々楽だな…そう思いながら歩いていると、
女の人と、男の人が公園で話していた。
会話を聞いていると、どうやら別れ話をしているらしい。
男「…ごめん、もう俺はお前とやってけない。」
女「なんで…なんでよ…私はこんなにあなたを愛してるのに…」
二人とも二十代ほどで、
女の人の方は長い黒髪で、顔は長い前髪のせいで見えなかった。
どうやら女の人の方は愛が重い感じらしい。
こんな奴には巻き込まれたくないな…
心底めんどくさいなとため息をついていると、
二人の話がもう終盤まで来ているようだった。
男「…ごめん、ほんとうに。ごめんな」
女「……もういい」
もうさすがに愛想を尽かしたか?
そう思った矢先。
女「私を愛さない人なら、いらない」
そういって、女の人が男の人をナイフで刺した。
私は驚いたあまり、その場へ飛び出して行った。
「何やってるの!!犯罪だぞ!?」
女「あの人が悪いの、私を愛さないから」
「そんなの、お前が悪いに決まってる…!!」
私は警察に電話しようとスマホを取り出す。
でも、その手を女の人に止められた。
女「いいの?通報したらあなたが不幸になるのに」
「んなわけないでしょ…!!」
女「あら、私の話を信じないの?まあ、私は別にいいわよ」
「は…?」
普通なら全力で逃げるものだし、
通報しようとする者がいたら殺してまで阻止するはず。
でも、この女の人は止めなかった。
「はぁ。そんな嘘通じると思う?」
でも、私は、「自分が不幸になる」という言葉を聞き、
少し気後れしてしまったようだ。
足が少し震え、この場にいたく無くなる。
「…もういい。お前のことは通報しないよ」
そう言い残して、逃げるように自分の家へ帰った。
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そして次の日、私はベットから体を起こした。
鏡に映ったのは長い黒髪で、目が隠れるほどある前髪の女。
それは、いつもどおりの私。
その日、私はずっと罪悪感と共に過ごした。
私が通報しなかったから、いまあの女の人は誰かの命を奪っているのだろうか。
私のせいで____
私はとうとう罪悪感に耐えられなくなり、警察へ通報することにした。
「昨日、〇〇公園で、女の人が____」
通報し終えると、罪悪感が消え、やっと心が軽くなった。
通報したおかげで罪悪感から解放されたことが何より嬉しかった。
そして、何時間かやっと軽くなった心で浮かれていた時。
ピンポーン。
誰かが家に来たみたい。
私は髪を整え着替え、玄関の扉を開けた。
そして私を待っていたのは数人の警察だった。
警察「お前を現行犯逮捕する」
〈解説〉
主人公の見た目と、女の人の見た目が同じ。
口調は違うけれども見た目がまったく同じ人は、
必ずとは言えないがいるものではない。
では、あの女の人は?
主人公の、昨日の記憶。
それを主人公は第三者視点で見ている。
女の人は、主人公に「通報したらあなたが不幸になる」と告げる。
それは、主人公が主人公を通報しているのと同じこと。
だから、主人公は殺人の疑いで逮捕されちゃったんだね