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さしむかう双つの体
注意事項というかもう本当に何書けばいいかわからない(⌒-⌒; )自己責任で!!
オレの箱庭で生きてる人はみんな、オレを愛してるし、怖がってる。オレでないと駄目で、オレだから嫌なんだ。
淫ら、みだり、かわいい、愛おしい、優しい、怖い
みんなのその内側にしまっている、オレに向けた心が垣間見れた時、胸の中は歯痒くて、温かくて、触れあったとき肌の凹凸がいつもより曖昧になって、少し違和感があった。
でも、決まってその時はあの女の子の事を思い出す。だから、余計に気持ちいい。
腹の上で四つん這いになって舌を這う女、ベッドの下で倒れこむようにしている男と女が数人に、あとなんだ。ああ、今日は楽しくない。
ふとソファの辺りに目をやると、近くで意識がギリギリで飛びそうなラリってる男がいた。そこに集っていく女は黙々と男の身体を好きなように弄りまわして、犯されていく。
「可哀想」
頭空っぽになって、腹の上で舐めることしかできない女の頭を鷲掴みにして、適当に投げた。
**ガタンッッ**
衝撃音が室内に響いた。この瞬間にも至る所から聞こえる、水音や喘ぎ声は鳴り止む事はなかった。
ただ、そこにいた男だけが僅かながら、反応を示した。
「おいで、こっちだ」
部屋の外へ出て、手招きをする。素質のある奴しか招待できない2階へ連れて行くことにした。
たしかめよう、またあの女の子を思い出したい。
ああ僕にはこの仕事は天職だ
「さあ、入って」
ベッドルームへの扉を開けるとされるがままに、部屋へ招き入れられる男は背後からの気配に気づかないまま、強くオレに抱擁された。
扉がパタンと閉まって、部屋が暗転し耳元でそっと
「名前を教えて?」
と甘い声で尋ねる。背後の男に怯えておずおずとした様子で、
「っレイ……」
と招かれた男はそう返した。
「そうか、レイ………オレの名前はクロウ」
「レイ、お前はいい子にできるかな?」
と囁いた。
---
突然、部屋に入ってきた女の行動は全く読めなかった。柔らかく微笑みながら、こちらを遠回しに邪険に扱うこともない。ただ、俺との会話を楽しんでいるようにしか見えなかった。まるで、最初から高松秋なんて人間は最初からいなかったかのように。
「ねえ、ルームサービスでもとりましょうか?」
「は?」
あっけらかんとして、あまりにも普通に言うので少し、動揺してしまった。
「ぜひ……」
「でもどうして?」
そう言うと、取り繕っていたのが丸わかりだと言わんばかりに一拍おいて、女はこう言った。
「……好きなのよプレゼントをするの」
「ねえ、客室電話はどこかしら?……」
澱みなく平然と話し続ける彼女の隙のなさが怖かった。目の前を横切って、何やら探し始めた。
疑心暗鬼になっていた。それなのに、ゆっくりと髪を揺らしてこちらに振り返る、女のその柔らかく不適な微笑みを見れば、俺の中の警戒心が音もなく解れていくようだった。
「…………」
俺は黙って、受話器のあるミニテーブルの方へ指を差した。
そうして女は受話器の元へと歩き出した。ヒール特有の高い足音は、曲がりなりにも最上階のスイートルーム。毛足の長い絨毯の上ではうざったい音が聞こえる事はなかった。
「このヒール、素敵でしょう?」
「これも私が贈った私へのプレゼント♡」
「……JimmyChoo好きなの?」
「うん、素敵でしょ!新作なの……」
目も合わす事もなく空返事をする女。
俺は今、どうしてこんな事をしているんだ。そうだ、仕事。仕事をしていた。それはとても大事な仕事だ。俺1人だけでなく、あの人と組織にとっても変わらない。金持ちのヒモやって数年、いろんな所を点々としていたある日、あの人に拾ってもらった。だけど、どうだ?あの人に借りはあれど、恩はない。ああ、どうしてこんな事になった。焦りと緊張と強い罪悪感で視界が散り散りになっていく。
すると、ようやくフロントと繋がったのか着信音はピタッと途絶えた時だった。俺の目は、しっかりと捉えた。女の身に纏っているコートは、高松のものだった。そこには、首筋が少し汗ばんでいた。俺はそれを見逃さなかった。
さっきまでの余裕綽々といったそぶりから見て全く予想もできない隙が見えた。
こちらに背を向けて受話器を手にし、番号を打ち出している。しばらくすると着信音が一定のリズムで部屋の中に鳴り響いた。
「ねえ、お姉さん……汗かいてるよ?」
「っ!……ああ本当だ」
ああ、そうだ。肝心な事を忘れていた。
今回の俺の仕事は『ハニートラップ』だ。
なんだ、俺の得意分野じゃないか
「それと……」
ふわりと漂う、甘く、軽やかな辛味を感じる香りだった。
「お姉さんはお金持ち?」
この女にとって予想外な言葉だったんだろう。勢いよく振り返って、目を見開いた初めてみる表情をしていた。
「……うん」
「お金使うの好き?」
「ふふ、ええ」
「お姉さんの稼ぎは死ぬまで絶対?」
「そうかもね」
女との会話が続いていく内に最初の驚いたような表情は段々と澄まし顔に戻っていった。一歩ずつ近づいていくのに、一向に女との距離が縮まりそうにない。まあ、そんな簡単に事が進む事もないだろう。
「そうなんだ」
それもこれも嘘をつくのも、欲を掻き立てるのも、遊んで、喧嘩をするのも全部、俺と俺の女の為にしかやってこなかったから。
きっと、高松秋もそれを見抜いていたんだろう。
「《《プレゼント》》……ね、俺のになると思ってた」
きっとこの女とも心を通わせるのは無理だろうな。だけどソレは然程、重要じゃない。だから、恋愛における強烈的な引力も優しい温度も必要ない。ただ、ゆっくりと誘いこんで、無防備な俺を晒して仕舞えば___
「そうなの、」
そうだ。俺は可哀想で、最低で、どうとでもなるような男だ。
全部、貴女が見てる通りだよ。
ああ、みるみる女の目の色が変わっていく。
この女の子は俺を遊び相手に選んでくれるかな?
きっと俺は貴女を_______
「でもね、俺はいいよお姉さんの"__"をくれるなら」
貴女を愛してあげられるよ
「………いいよ」
『お待たせ致しました』
電話口からホテルマンの声が聞こえた。それでも俺たちは視線を逸らす事はなかった。
「繋がったみたいだね」
健やかに微笑んでみせた。すぐに顔を背けてしまったけど、こちらとしては好都合。隙を見て、適当なところに置いてあったスマホの画面を見ると、そこにはあの人からの『了解』という返信が表示されていた。
ああ、よかった。どうやら《《間に合った》》みたいだ
---
電話を終えて、受話器を置くその仕草すら、どこか焦ったい。ドレッサーの鏡に映る彼女から目が離せなかった。指先が、受話器から離れると彼女は口にした。
「狼に憧れてるの」
「狼?…どうして?」
間をおいて、鏡越しに彼女の姿を目で追って、聞き返した。
「ううん……猛々しいっていうのかな……」
「かっこよくて」
彼女と目が合うことは、あれからずっとない。ただ、空を見つめて、徐にベッドに腰をかけた。
「そう……」
「ねえ、あなたは何をくれるの?………」
「え?」
「アタシの大切なモノをあげるのよ……あなたはアタシに全てを頂戴………?」
「ははは!ふふ、それは少し苦労しそうだね」
「そうね」
女の行動や態度は点で読めない。ここまできて、一向にそういう雰囲気にならない事も含めて。
「少し席を外すわね………」
「待って!」
ここまできて、1人にはさせない。
「どうして、止めるの?」
「ユウのところへ?」
ユウもとい、高松秋は哉倮組との大事なパイプになりうる女だ。
「それは一番避けて欲しい……かな?」
「……………」
「煩わしいのは嫌よ?お兄さん……」
女の表情は無いがその言葉や声の重みが一層増して、まるで心も身体も蹂躙されていくようなそんな抑圧的な恐怖が突如として襲ってきた。
「っリン!」
「俺の名前はリン……ねえ、俺の全部、貰ってくれるんだろ?」
女の掌を両手で優しく包みこむ。綺麗な指、爪、掌の形だ。色白でいて柔らかい。震えているのもすぐに分かった。ただ、違和感があった。
「……なあに?」
女が動揺して、手を引こうとするので俺は逃すまいと強く握った。
「冷たい」
「温めてやりたい。俺の全てで、あなたのこと……」
「…………」
すると、女は俺の指と絡めて握り返した。
「………わかったわ、今晩はここにいる」
「それなら電話をしよう……」
そっと視線を客室電話へ向かわせるが、
「ふふ、いいの?このまま……この手をはなしても___?」
「……ううん」
ああ、愛おしい
---
あの後、そのまま寝てしまっていたらしい。横にいたはずの女がどこにもいない。シーツに触れてみても、温もりはなかった。女と寝るのも何も今日が初めてじゃない。ありがちな事だ。それなのに、どこか今まで感じた事がないような体の違和感があった。
「また、この感じか……」
違和感。そう言えば、あの時手を握った時、何故か彼女の手が変だった。人差し指だけがピンと伸びていてた。
「あ!」
ふとベッドサイドにある置き時計を見るとそこには、
「もう、3時ね……」
「目が醒めた?」
どこからともなく、女が現れてそう言った。
「どれくらいの時間、こうしてた?」
「ふふ、知らない方がいいかもね♡」
濁された。どういう意図で?_____
ああ、嫌だ。抱いた女をこうも疑うのは、性に合わない。とりあえず報告だ。あの人に伝えなければ。
「どうしたの?表情をコロコロ変えちゃって……」
「え!ああ、……ルームサービス、折角頼んでもらったのに、悪いなあって」
相変わらず、隙がないな。
「ああ!大丈夫よ、時間をずらしてもらったから………」
「ユウの分ももう頼んどいたわ」
「そう………」
完全にやらかしたな。大失態だ。
「シャワー浴びてきたら?私はもう済んだから」
「うん、そうさせてもらうよ」
<数時間後>
電話をしてるのを聞く狼
身支度を済ませて食事をとると、俺達は早々にチェックアウトを済ませた。ただ、彼女が身につけていた香水が見たこともないブランドのものだったので、
「これどこのモノ?」
「これはね、シナモンと花の香り、ラストノートがウッド系なのよ」
「へえ」
特段、興味も湧かなかったがブランド物にこだわりがありそうな彼女の事なので、少し疑問に思った。
「あ……これは使っちゃダメよ?」
「人によっては毒になるから」
そう、鏡の前でアクセサリーを吟味しながら平然と言っていた。
ホテルを出て、すぐに黒塗りの高級車が目の前に止まった。見送りにきていた、ホテルマン達がエスコートをされる彼女が何故だか、朝に似つかわしくない黒いトレンチコートの裾を翻し、車内に入っていくその姿がまるで、鴉のように見えた。
「ほら、おいで………リン」
言われる通り、隣に座る。運転手も彼女と同じように全身、黒い格好をしていた。彼女は、行き先を伝える事もない。運転手も何も、俺達に尋ねることはなかった。異様な空気感が狭い車内に満ちている。
「……………」
「リン」
沈黙を破ったのは、彼女だった。
「アタシの名前は、クレア…………リンはトバリって呼んでね」
その目から目を逸らすことができなかった。気づけばとっくに車は目的地へと向かっていた。
---
**ピーッ**
ルームキーをかざす。この部屋には、あの女の子がいる。会いたかった、あの子がいる。
姉さんがおれに、僕に贈ってくれる《《プレゼント》》。
部屋を探すけど、どこにも見当たらない。
ポチャン
水音が背後から聞こえた。
「まさかとは思うけど………」
「姉さんは手酷いな」
あの女の子は全裸でシャワールームのラックに片手を宙吊りにされていた。
「あれ………」
予想外。いや、これも想定内か。そこには女の子の足元に、血溜まりがあった。左手の薬指の指先が切り落とされていた。
「見事だなあ!こんなに綺麗に切れるもんなの?」
第一関節だけが失くなっていた。チーズを薄くスライスしたかのような綺麗な断面だった。
「クロウさん、急ぎ過ぎです」
遠くからオレを呼ぶ声が聞こえた。
「ここに居たんですね……」
「ッッ!!………これは!___この失血じゃ、相当痛みがあったでしょうね」
「いいや、レイ………この香りはきっと姉さん、睡眠ガス入りの香水、使ったな」
「でも指を切ったのは狼だよ」
「|玄《クロウ》さん_____」
レイが遠くから、オレの名前を呼んでいる。
きっとオレは今、この瞬間、頭がおかしくなっている。だって目の前にずっとずっと……ずっと焦がれていたあの子がいるんだ。
「よかった!こうして会えて!」
オレは女の子を強く抱き寄せた。意識はまだ戻らない。でも温もりがある。肩口ではすぅすぅと呼吸音だってすぐそばで聞こえている。
「嬉しいなぁぁ………」
指から滴っている血がゆっくりとオレのスーツに染み、広がっていくのがわかる。じわじわと、赤が迫り上がっていく。ああ、やばい!やばい!やばい!
「初めまして、可愛い人…………」
「玄さん!まずは応急処置です!!」
「ああ、そうか___うん………」
「それなら………レイ?抱かせてよ………」
|玄《クロウ》という男の腹の内は、未だ掴めない。どうしようもなく気持ち悪くて、怖い。それなのに、男としての魅力は計り知れない。
「………はい」
**ブーブー**
ポケットの中でスマホが振動しているのがわかった。ただ、今はそれを知る事もままならない。
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件名:なし
|驎《リン》が高松を狙う女との接触に成功した。昨夜の電話でホテル内に急遽、潜伏していた仲間に伝達をして、高松が捕えられていた部屋まで突き止めた。マーキング済みだ。
他は各々、好きにしなさい
ロア