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明日の私を待つ。
私はこの部屋で、明日の、明後日の私を待つ。
くらくらして、ただ頭が痛くて、
吐き気がして、眩暈がして、
歩いたり立つのが苦しかった。
苦しかった?
体が拒んでいたのかもしれないけれど。
体調改善がてら、外に出て私はお花を摘みに行く。
アネモネが近くの丘に生えている。
管理者の人が少しならいいよ、と許可してくれている。
私は毎日アネモネを一本ずつ摘んで、
部屋の窓辺の花瓶にさしている。
ふわふわと風で揺れるアネモネを見ながら、
体を横にしている。
窓はベッドで横になっていても外の景色が見える。
街を行く車を眺めたり、同い年くらいの人が登下校しているのを見て一日を過ごしている。
日に日に悪化する体調に、いつしか私は安静にしていることが多くなった。
部屋にはテレビも棚もあるのに、私は興味がない。
暇じゃないのか、と会いに来る友人に言われる。
私は全く暇ではない。
それに、友人が来てくれた日は学校の話を聞かせてくれるから、尚更。
「ここで1人、家族もいないこの施設で1人でしょ」
「僕がずっと来てあげる。」
その子は隣にあるフリースクールに通っていた。
学校、と同じような場所だから。
行けて羨ましい。
私は、明日も明後日も、その次の未来も
この部屋で1人で待っているのに。
窓辺に置いてある15本のアネモネが風に吹かれて揺れている。
花言葉もぜひ調べてみてくださいね。