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ざ、しょーと #4
『ゆき』
「ごんぎつねってさ、因果応報だよな。」
友達がふとそう問いかけてきた。
「なんで?」
そう聞き返すと、深い雪をザクザクとふみ進みながら友達はまた言った。
「いや…うなぎ盗んだじゃん。それで、兵十のお母さん間接的に殺して、栗たくさん届けて償っても、お母さんは生き返らないし、むしろ、ごんが死んでよかったと俺は思う。」
相変わらずあいつの話は意味がわからない。
「何が言いたいんだ?」
するとあいつははーっと白い息を吐いて、ふっとすってこう言った。
「悪い奴はさ、ごんみたいに裁かれるべきだと思うんだ。」
いつもより真剣な目で下を向いて、こいつはどうかしたのだろうか。
こいつはそう言ってから、しばらく黙り込んでしまった。
ザクザクと、何とも言えない雪を潰す音と、体の痛みの感覚だけがつんと耳元にささやいてくる。
「だからさ」
突如、なにか絞ったような声した。
驚いてあいつの方を見ると、今にも泣き出しそうな目をして、こっちを睨んできた。
何か、悪いことをしてしまっただろうか。
「ハッキリ言ってくれよ、俺を頼ってくれよ。…俺知ってんだよ、お前がいじめられてるとこ。」
「いじめ…?」
あれはいじめじゃなくて、言われたからやってただけだ。
「ちげぇよ。ノリに合わせてたんだよ。言われたからさ、わかるだろ?」
何故か心がきゅうっと苦しくなる。
「じゃあお前は、ノリに合わせて自分の弁当外に投げるのか?ローキックの練習台になるのか?」
そんな馬鹿げたこと、いじめっていうのかよ。
それぐらいで…
「…あれ?」
雪で霞んでいた視界が大粒の塩水でまた覆われて、失明しそうだった。
「お前ばっかり…俺許せないよ。何も悪くねぇだろ、お前…」
目の前の友人がどんな顔をしているのかが知るのが恐ろしくて、俺はただ下を向くしかなかった。
「大丈夫、俺が何とかする」
大丈夫だとは言わなかった。
やっぱり俺も、辛かったんだ。
その言葉を聞いて、ほっとしてしまったんだ。
白くて綺麗な雪と、対照的な俺は、支えられて腐るのだろうか。
「ありがとう…」
季節が変わるように、俺も変われるだろうか。