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1.夢の中
ユメは1人、目を開ける。
そこは真っ暗で、何かがあるはずなのにぼやけてそれが何か分からない。そんな、ふわふわとした場所。
体にはふかふかとした、布団の感触がしている。にも関わらず、ぼんやりと何かが目の裏にちらつく。
まるで夢のように。
2〜3分経った時だろうか。向こう側から誰かが歩いてきているような気がしてくる。
??「やぁ、ユメ。久しぶり」
くぐもった女性の声は、私に対して久しぶりと言ってきた。
その声に聞き覚えも、そのシルエットに見覚えもないはずなのに。
それなのに、どこか懐かしい。
??「君はもう高校生になるのかい?いやぁ、時の流れというものは非常に速いものだ」
確かに私は明日高校生になる。偶然の可能性もあるが、彼女の声は全てを見通すかのように頭に響いていた。
??「おっと、もう時間か。久々の再開ということでもう少し話したかったのけれど」
声が詰まる。喉が締め付けられているかのようだ。
それでも、掠れ声でこう問いかける。
ユメ「あなたは、誰?」
??「ユメ..君の、君だけの。あの日夢見た"夢"...名前なんて重要じゃない。いずれ皆、夢に還るのだから!」
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意識が現実に戻される。
それまでは動かなかった体が、段々と動かせるようになっていく。
ユメは1人、目を開ける。
ユメ「ここは、現実?」
見慣れた天井、窓から差し込む朝日。いつも通りの日常、のはず。
可笑しな夢に、知らない知人のフリをする女性。
きっと、夢特有のチグハグさが生み出した幻だろう。
ユメはそう思い、布団から出る。
夢から始まり、夢で終わる。ユメの1日が、今日も始まる。