大正時代にタイムスリップしてしまいました！　第二話

ヒュウゥ ドスン 「痛っ〜〜！なんだったのさっきの穴みたいなもんさぁ」 　そう言って立ち上がった時、ある事に気付く。 「え…ここどこやねん？」 　周りを見渡してみると、ここは喫茶店ではなく、和風な建物が立ち並ぶ街だった。しかも周りの人は皆、着物や、和と洋が組み合わさったような服装をしている。その服装には見覚えがあった。昔、歴史の授業で習った、まさに大正時代の風景そのものだったのだ。 「まさか…こんな事…あれ…いや何コレ」 　その時、彼女はもう一つの事実に気付く。 「ありゃ？2人は？」 　なんと一緒にいるはずの2人がいないのだ。 「ま、あの2人はどうにかなるか。問題は…私なんだよな…」 　見知らぬ場所で仲間と逸れる。しかもきちんと帰れるかどうかもあやしい。状況としてはかなりまずい状態だろう。これからどうするのか考えていると。突然、近くを通り過ぎようとした女の人が話し掛けてきた。 「ん？きみ、珍しい格好してるねぇ」 「誰？」 「まぁまぁ、そんなに警戒しなくても、怪しい者じゃ無いよ。困ってそうだから、気になっただけだよ」 正直言うと物凄く胡散臭そうな感じがする。しかし右も左も分からない今の状況で、助けてくれそうな存在は有難い。 「じゃあ…一応話だけは聞く…」 「なら私のところに来たらいいよ。大丈夫、すぐ近くだから」 「分かった」 「ところで、きみ。名前は何て言うの？」 「紫宝です！｜四季咲《　しきさき》｜紫宝《 しほう》…んー…」 (軍の事は…ま、言わなくてもいっか) 「…皆には何故かしほーって呼ばれてる」 「私は｜葉月《はづき》って言うんだ。よろしくね、紫宝さん」