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スノードロップが咲く時
あれは確か、4月のこと。
桜が咲き乱れる季節に、君は。
言ってほしくなかった言葉を、言っている。
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3月1日。
今日も、スノードロップが綺麗に咲いている。
横目で自分の家の庭を見ながら、急ぎ足で学校へ向かう。
私の中学校は規則に五月蝿いから、余計足に焦りが伝わる。
その中で、私の瞳に写ったのは。
忘れもしない、君の姿。
幻覚だろうか。
だってあの日、君は確かに《《死んだはず》》。
その事実に、泣いて泣いて自分が壊れそうになった。
だからこれ以上は、もう
君がこっちを見て笑っている。
なんでそんな顔ができるの?
私は我慢できなくなって、その場を走り去った。
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2月6日、君の誕生日。
私は君に、スノードロップの花を渡した。
自分の庭に咲いていたから。
君はとても喜んでいたよね。
きっとあのときから、歯車は狂っていたんだ。
私は君の誕生日会が終わってから、すぐに帰った。
宿題がまだ終わっていなかったという、単純な理由で。
でも君は、君は
その後海で、流された。
警察が恐らく自殺だろう、と言っていたがどうにも信じられなかった。
あんな笑顔で、数時間前一緒に居たのに。
それなのに君は。
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3月29日。
ああ、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
君は、なんで私の前に姿を現すの?
もうこれ以上は。
私が壊れてしまう。
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私は4月になっても咲き続ける、君に送ったスノードロップを眺めている。
その奥には、笑顔の君がいる。
まさか、まさか
そんなはずがない
だって君は、あの日
君は笑顔で、口を開く。
「また会えたね」
さて、この物語に隠された真実とは⁉
違和感を探してみてください