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第七話
【前回のあらすじ】
夜の秘密の会話の後、正式にそこで暮らすことが決まった沙雪。
その日の夜、天舞たちが「嫌な気配がする」と警戒していた。
すると突然、遠くからこちらへ走ってくる音が聞こえてきたのだ!!
そして、なんとその音の主が、障子を突き破って入ってきて…!?
**ガッシャーーーンッッ!!!!!**
沙雪「きゃっ!!?」
火影「っ!!」
ガバッ!
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沙雪「………!?」
私は何かと壁の間に挟まれている。なぜが顔が暖かい。
横を見ると、天舞、竜翔くん、灯和も一緒だ。
というか、4人がおしくらまんじゅうの如くギュウギュウになっている。
私は唐突すぎて何が起こったのか全くわかっていない。
でも私以外は状況がわかっているようだった。
竜翔「……立て直したばっかなのに……」
天舞「…っ!どけっ…!!」
灯和「火影大丈夫!?」
火影「……大丈夫だ…」
火影さんの声が聞こえると同時に、圧迫感がなくなって視界がひらけた。
目の前には、狐の尻尾がゆらいでいる。
その時、私は理解した。
私は火影さんに庇われて、壁に挟まれてたんだ。
沙雪「!!あ、ありがとうございます…!!」
火影「…別にいい。」
どうりで顔がもふもふしてたわけだ。__正直すごく気持ちよかった。__
そんなことを考えていると、、私の前方から知らない声が聞こえてくる。
??「ニャハハッ♪着地成功じゃっ!」
火影「もう少し反応が遅れていたらどうするつもりだったんだ…?」
??「んぁ?避けれたんじゃから別にいいじゃろ!」
火影「……………(イラァ)」
天舞「おー久しぶりだなー!!」
??「おお!天舞か!久しいの〜!!」
竜翔「もう!こっちくるたびにお屋敷壊さないでよっ!」
??「別に良いではないか!!」
そんな天真爛漫な態度で彼女は話続ける。
一方の私は大混乱だ。
当たり前だ。目の前の彼女もまた、人間ではなかったのだから。
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彼女は、私よりも少し小柄なのに、私よりも存在感があった。
綺麗なセミロングの黒髪が風に靡いている。
目の色は綺麗な緑色で、少し引き込まれる。
口からは少し八重歯が出ていて、どこか愛嬌がある。
服は、緑の着物に薄黄土の袴と、まるで巫女さんのようだった。
しかし、綺麗な髪の上に、可愛らしい猫の耳が動いていた。
後ろから二つに分かれた猫の尾が見え隠れしている。
彼女の正体はおそらく…`猫又`だろう。
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私があたふたとしていると、彼女と目が合ってしまった。
その瞬間、彼女の楽しげな目が警戒で揺らいだのが分かった。
??「……ん?誰じゃおぬし。」
沙雪「…わ、私は神月沙雪です…!」
??「…ふんっ!図が高いぞ人間っ!ワシにひれ伏せっ!!」
私は思わず姿勢を正す。
すると彼女は自信に満ちた表情で仁王立ちになった。
??「よく覚えておけ沙雪っ!ワシは猫又の**|猫葉《ねこは》**じゃっ!!」
沙雪「は、はいっ!?」
猫葉と名乗る彼女は、私が困惑する姿を見て満足げに頷いた。
しかし、私をみる目から警戒は抜けきれていない。
私はこっそりと竜翔たちに話しかけた。
__沙雪「か、彼女は…?」__
__竜翔「ごめんね…昔からあんな性格なんだ……」__
__沙雪「え、何回か会ったことあるの…?」__
__火影「猫葉が腹を空かせていたから魚を食わせたら付いてくるようになった。」__
__沙雪「え…野良猫ちゃんみたいだね……?」__
__灯和「それが、本当に野良猫だったんだよ……」__
__天舞「だから警戒心が結構高いんだよ…下手に絡んだら呪われるぞ…」__
__沙雪「えぇ!?」__
__竜翔「猫又っていうのは、相手を化かしたり呪う力があるとされてるんだよ……」__
__天舞「そう。だから気ぃつけろよー。」__
沙雪「……………!!」
私はまた猫葉ちゃんの方に目を向ける。
猫葉ちゃんは自分の頭を整えていた。
沙雪(…………やってみるしかないか…)
私は覚悟を決めて、彼女に近づく。
当然気づかれてしまった。
猫葉「なんじゃ人間。」
__沙雪「………あの…」__
猫葉「ハキハキ言わんと何も聞こえぬぞ?」
**沙雪「………失礼しますっ!」**
ナデナデ…
**一同「!!?」**
私と猫葉ちゃん以外が飛び上がった。
明らかに動揺している。
猫葉「はぁ!?何をしておるのじゃおぬしはっ!!?」
沙雪「…………!!」
ナデナデナデ……
猫葉「ニャッ!?やめろ人間っ!その手を離せっ!!」
竜翔「さ、沙雪ちゃん!?さっきの話聞いてた!!?」
火影「…!?」
天舞「うおぉ!!?何してんだ急に!!?」
猫葉「お…ぬし…!そ…れをっ…やめ…ろ…と…言っ…ておる…じゃろ…!!」
沙雪(考えるな考えるな…!!手を動かせ……!!)
ナデナデナデナデ……
猫葉「………………!」
ナデナデナデナデナデナデ………
竜翔「…ん?何か聞こえない…?」
火影「ああ…何か聞こえるな。」
天舞「なんの音だ…?」
__ゴロゴロゴロ……__
その時、猫葉ちゃんがゆっくりと口を開いた。
猫葉「………おい人間。」
沙雪「!な、なんですか…?」
猫葉「……そこもっと撫でろ…」
沙雪「……!!」
ナデナデ……
__グルルルルル……__
***一同「!!?!?」***
全員が今まで見たことないような顔をした。
目が丸くして、空いた口が塞がらないと言った感じだ。
灯和「あ…あの猫葉が……!!」
天舞「甘えてるっ…!!?」
火影「沙雪、手にマタタビでも仕込んだのか!?」
沙雪「う、ううん……撫でただけ…だよ…?」
__ゴロゴロ……__
猫葉「……ん〜…気持ちいいのぉ…♪」
沙雪「う、嬉しいですっ…!////」
竜翔「…… !!ご、ゴッドハンドだ……!!」
そしてしばらく、このナデナデ作戦は続いたのだった。
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第七話 〜完〜
新キャラ『猫葉』の情報は人物紹介に載せています。