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『殺人』
「えッ‥」
少女は怯え、驚いていた。
目の前の光景に現実味がなかったから。
だが、少女はその場から動かなかった。
___何故動かない?
驚いていて動けない、が正しい言葉だ。
___目の前の光景とは?
死体だ。他人の死体があった。
___死体があったのは何処?
路地裏だ。少女はそこを通ろうとした。
___何故通ろうとした?
友達の家へ行くためだ。
___別に道があったんじゃないのか?
あったがここを通ればショートカットになる。
___ショートカットした意味は?
集合時間を過ぎてしまっていたからだ。
___早く逃げなきゃ疑われるのでは?
その通りだ。だが‥
--- ウー‥!ウー‥!ウー‥! ---
「ッ!」
もう遅い。パトカーがこっちへ向かってくる。
___今すぐ逃げれば間に合うのでは?
少女に逃げ場はなかった。
___どう言うこと?
前は死体で通り道を塞がれており、
後ろには人通りの多い道がある。
___死体を跨げば?
今の少女に冷静な判断は出来なかった。
___警察に事情を話せばいいのでは?
冤罪逮捕の多い今の時代はそんなの無理だ。
___警察は無能ということ?
力はある。だが冤罪を確認しようとしない。
___パトカーはどうなった?
もうすぐそこに。
___少女はどうなった?
少女は‥
「やめてくださいッ、私じゃないんですッ、!」
逮捕されかけ、逃げる事を許されない状況に。
---
「‥だから、私じゃないんです!」
___それを証明する証拠は?
「それは‥ないけれど‥」
___あの現場は誰がどう見ても君が犯人だ。
「だから違いますって!」
___ならあの時何をしていた?
「あの時は‥動けなくなっちゃって。」
___犯人だから慌てた?
「だから違います!私は友達の家に行こうとしてただけで‥!」
___言い訳はなんでもいい。
「言い訳じゃないです!!」
___騒がしいな‥いいか。君の罪状は‥
「殺人罪、ですよね‥」
___分かっていたのか。
「冤罪を晴らせないならそうだろうな〜と。」
___君はウォルクト刑務所に収監される。
「ウォルクト!?えぇ!?」
___知ってるのか?
「知らないわけがないですよ!!えぇ‥?」
___死刑囚だからな。当たり前だ。
「しけ、死刑囚!?私が!?」
___殺人犯だ。死刑じゃないわけがない。
「だから冤罪ですって‥!」
___いちいち反応するな。
「ご、ごめんなさい‥」
___逆にお前。何か聞きたいことはあるか?
「ご飯、美味しいですか‥?」
___は?
「あと、自由時間ってありますか!?」
___急に吹っ切れたな。
「いやー、もう辞めちゃおっかなって?」
___辞める?
「抵抗するの! ニコッ 」
___いい態度だな。それでいろ。
「‥はい!」
___最後に君の死刑までの日数を伝えよう。
「それは嬉しいです!‥お願いします!」
___エマ・パークティス。君は残り50日だ。