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誰かのお話。
日柿【猫猫コンビの親】
誰かのお話です。
私は名もなき小さな神様だ。
信仰も少ない概念だけの。
でも、少しでも、信じてくれる人がいるから。
私は頑張れる。
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最近、信仰が増えて来た。
名前もくれた。
《**エメラレス**》と呼ばれるようになった。
宝石が私は好きだ。
美しく、心を澄ましてくれる。
特にエメラルドが好き。
透き通った、美しい翠色。
人々の信じる心も美しい。
だから、私は頑張りたいのだ。
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少し、濁った、利己的な願いが増えてきた。
自分の心が少しずつ濁っていくのが感じる。
ただ、信じるだけではなく、
「ああして欲しい」
「こうして欲しい」
そんなような願いが増えて来た。
昔、人の願いは
「平和になりますように」
「作物が実りますように」
そんな、誰かの為になるようにという、
美しく透き通った願いが多かった。
疲れて来てしまった。
ずっと、人々の願いを叶えて、叶えて、叶えて、
人の喜ぶ顔が好きだった。
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ある日、ある少女が、私のことを調べていた。
気になって"ミて"いた。
わたしの、私の本質に辿り着いていた。
だから、《《【眷属】》》にしてあげた。
彼女の通っていた学園が
私の神域の範囲内だったから。
学園に居させておいた。
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嫌になってきた。
何故、碌に信仰もしない、
一時の祈りまで叶えねばならないのだろうか。
分からなくなって来た。
辛い。
宝石のような、澄んだ願いをまた叶えたい。
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誰かの可哀想なお話。