公開中
彰人、お願い…。
東雲絵名視点
---
彰人を`守れなかった`
「ごめん、ごめんね、彰人…」
彰人が歩道から飛び出した。
…いや、青信号だったから。
なのに、なのに信号無視のトラックが突っ込んできて…
それで私は咄嗟に、横断歩道に出て彰人を突き放した。
彰人なんて嫌い、そう思ってたのに、違う。
私は彰人のことが大切なんだ、って。
代わりに私がトラックに突き飛ばされた。
彰人が無事ならそれでいい、それでいいの。
だから、私が助かったことは奇跡だった。
なのに今、私の目の前のベッドに倒れているのは、
**東雲彰人**。私の弟。
なんで…私、守れなかったの…。
……医者に聞いた、
『突き飛ばされた軽い衝撃と、実の姉が轢かれたショック』
そう答えた。
じゃぁ、なんで彰人は今倒れてるの?
『ショック』なら、目、覚めるよね…?
私の突き飛ばす力が強かったの?
違うよね、昔みたいに、昔みたいに…
---
「あきとよしよーし!」
『ん、ねーちゃん、おれもうこどもじゃねーし!』
「おねーちゃんからみたらあきとはまだこどもだもん!」
---
昔、優しく頭を撫でた時と同じような加減だった。
確かにそれよりかは強かったかもしれない。
けれど、人が死ぬような加減じゃないはず。
じゃぁなんで?どうして?
ずっと頭の中が自問自答してる。
…彰人は軽くうなされている。
悪夢でもみているかのように。
けれど、心拍が弱い。
「……彰人、お姉ちゃんがついてるからね。」
私はそう言うことしかできない。
ダメなお姉ちゃんだから。
「お姉ちゃんはずっと、可愛い弟の彰人のこと見守ってるから…。」
そう声をかけて、頭を撫でることしかできない。
私も安静にして、と言われているけれど、彰人が心配だから。
「彰人、彰人…っ…。」
彰人は私の、世界で1人の弟。
決して嫌いなんかじゃなかった。
むしろ、**大切**で**大好き**なのに、
ずっとずっと…
---
『彰人になんかに私の気持ちがわかるわけ…!』
---
『うるさい!!!あんたの顔なんか見たくない!』
---
『どっかいって!邪魔!うるさい!!!』
---
『私の気持ちも知らないくせに、そんなこと言わないで!』
---
彰人に当たって…。
「…私が1番、彰人の気持ちを分かってないのに…。」
ピッ、ピッ、と無機質な機械音が部屋に響く。
その音を聞くたびに、彰人がどんどん離れていっているような感覚になる。
「お願い、彰人、彰人…」
ピッ、最後にその音だけが響いて、何も聞こえなくなった。
「う、そ…あき、と…… 彰人、目、**`覚ましてよ`**…。」
END1『相手の命。』
---
………実際、大切な相手が目の前で轢かれたショックで
命を落とすことがあるらしいです。