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友達作り⑯これで友達!
星
「そこまでだ、天野」佐藤くんの声が暗い廊下に響き渡ると、空ちゃんはビクッと体を強張らせて振り返った。「な、何よあんた……! 1組の佐藤……? 関係ない奴は引っ込んでなさいよ!」「関係大ありだ。俺の、大事な親友を傷つけようとする奴を、放っておけるわけねえだろ」佐藤くんは奈々の前に一歩踏み出し、大きな体で空ちゃんの視線を遮るように立ちはだかった。その背中があまりにも頼もしくて、奈々の胸がまたトクンと跳ね上がる。「それに、お前が川に捨てたっていうゆいたちの大切なもの……。これのことか?」佐藤くんがポケットから取り出したのは、少し濡れて汚れてしまった、小さなキーホルダーや思い出の品々だった。「ああっ……! うちらの、プレゼント交換の……!」ももちゃんが声を上げて泣き崩れる。佐藤くんは、空ちゃんが川に捨てたものを、裏でこっそりすべて拾い集めてくれていたのだ。「う、嘘……なんであんたがそれを……!」空ちゃんは顔を真っ赤にし、今度こそ完全に言葉を失ってガタガタと震え出した。自分の武器をすべて失い、一気に一人ぼっちになってしまったことに気づいたのだ。「もうお前の脅しは通用しねえぞ。……さあ、奈々、、グループたち、行こうぜ」佐藤くんがみんなを促し、その場を去ろうとしたときだった。「……待って」奈々は歩き出さず、一人で空ちゃんの方を振り返った。きつく拳を握りしめ、今にも泣き出しそうな顔でうつむいている空ちゃん。その姿は、ゆいたちが最初に言っていた「一人ぼっちで、とても可哀想だった」あの頃の空ちゃんそのものに見えた。(あの子も、本当は寂しかっただけなんじゃないかな……。どうやって人と仲良くすればいいか、分からなかっただけなのかも)奈々は佐藤くんの制止をそっとかわし、空ちゃんの目の前まで歩いていった。「な、何よ……! 勝ち誇りに来たわけ!?*」怯えたように睨みつける空ちゃんに、奈々は優しく、にっこりと微笑みかけた。「空ちゃん。私達、最初からやり直そう」「え……?」「命令したり、脅したりしなくていいよ。そんなことしなくても……私たちはもう、最初から出会ってるんだもん。みんなで一緒に遊ぼう? 今日の給食、カレーだよ。佐藤くん、福神漬けが辛くて苦手なんだって。空ちゃんは、福神漬け好き?」唐突な奈々の言葉に、空ちゃんはぽかんと口を開けた。ゆいたち6人も、佐藤くんも、驚いて奈々を見つめている。「空ちゃん、最初にグループに誘ってもらったとき、嬉しかったでしょ? ゆいたちもね、空ちゃんが可愛くて、一緒にいたくて誘ったんだよ。誰も、空ちゃんを一人ぼっちにしようなんて思ってない」奈々の温かい言葉が、空ちゃんの凍りついた心をじわじわと溶かしていく。「う、そよ……。私、あんなに酷いことしたのに……」空ちゃんの目から、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。「嘘じゃないよ。ね、みんな?」奈々が振り返ると、ゆいたち6人も涙を拭いながら、優しくうなずいた。「空ちゃん……うちら、本当に空ちゃんと仲良くしたかったんだよ。もう天野様なんて呼ばない。空ちゃん、って呼びたいな」ゆいが一歩前に出て、空ちゃんの手を握る。「私……私、みんなと……みんなと、本当の友達になりたかった……! ごめんなさい……! ごめんなさいっ……!」空ちゃんはその場に泣き崩れ、ゆいたちに抱きついた。6人は空ちゃんを責めることなく、優しくその体を抱きしめる。その様子を、佐藤くんは呆れたように、でもどこか嬉そうに頭を掻きながら見つめていた。「ったく、お前の推理力と優しさには、敵わねえな」「えへへ、ありがと、佐藤くん」奈々が照れくさそうに笑うと、佐藤くんもいつもの、あのキラキラした笑顔を返してくれた。「よし! じゃあ、全員で一緒に教室に戻ろ! 先生の用事の終わるまで、みんなで何して遊ぶか決めなきゃ!」奈々が元気よく声をかけると、「賛成ー!」「うちら、トランプ持ってるよ!」と、みんなの明るい声が廊下に響き渡った。泣き止んだ空ちゃんも、まだ少し照れくさそうに、でも今までに見たことのない、本当の優しい笑顔を浮かべている。ぎこちなかった佐藤くんとの関係。操り人形だったグループの秘密。正式に、孤独だった空ちゃんの心。全部、全部、最初からやり直して、今ここで新しく繋がった。「これからも、よろしくね!」差し出されたたくさんの手を、みんなでしっかりと握り合う。「ありがとう。佐藤君。」「え?何が?」「佐藤君があそこで出てきてくれたから、私の本音を言えたんだと思う。だから、、、ありがとう。」「、、、、、、。」「?」「なんか、、、恥ずかしいっていうか、、、、、、。」「え?」「何でもない。奈々はすごいなって言っただけだ。」「へへっ。ありがとう。」「あぁ。」これからみんなで切り開くんだ。新しく始まった、私たちの輝く未来を。