公開中
第七話 守れない
《亮視点》
やばいっ!
不良もどきのチンピラおじさんが来たっ!
しかも、めっちゃタバコ臭い!
亮「け、警察に通報しますよっ!」
おじさん「金貸せって言ってんだよ!」
おじさんは眉をつり上げ、怒鳴る。
そ、そうだ。
桜もいるんだ。
小説の主人公だったら、好きな人のために戦うんだよな。
でも、俺はできないから、俺が今、やるべきことは!
亮「桜!逃げるぞ!」
俺は桜の手を掴み、走り出す。
おじさん「待て!」
俺は必死でおじさんから逃げた。
しかし、不良もどきなくせに中々頭のいい奴で、亮は路地に追いつめられてしまった。
俺は、なにも守れないのか……?
好きな人も、自分でさえも……。
その時。
桜「お、お金を貸せばいいんですよね!?」
桜がか弱くもはっきりとした声でおじさんに向かってそう叫んだ。
おじさん「そうだよ!早く貸せ!」
桜「は、はい!」
桜はそう言って、おじさんに近づくと、急所を蹴った。
おじさん「のおっ!」
桜「亮!逃げるよ!」
桜はそう言って、俺の手を掴んで、走り出した。
やっぱり、桜のほうが、ずっと、強いんだ。
怖がりもせず、あんな人に立ち向かえて。
やっぱり、俺は守れない……。
先生「どうしたの!?」
桜「はぁ、はぁ、えっと……。」
亮「知らないおじさんに絡まれて……。」
先生「大丈夫!?」
下校中
亮「はぁ~……桜、あり……。」
桜「ありがとね、亮。」
亮「えっ……?」
桜「私、怖かった。亮がいなきゃ、私は動けなかったと思う。ありがとね。」
桜は笑顔を亮へ向けた。
そっか。
全部、俺の思いこみだったんだ。
桜も、
怖かったんだ。
亮「桜が無事で良かった。ありがとう、桜!」
桜「えっ、なに?照れる!」
亮と桜は笑い合って下校した。
皆さんはあんなおじさんに絡まれたらどうします?自分は交番まで全力疾走!