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妄執のゲルニカ 書いてみた
くらぁ〜いおはなしです。
すくいようもないです。
そこまでじゃなかったらごめんなさい。
あと、遅れました…本当にリクエストしてくださった方、すみません…
からり。
もらった小瓶の中から、大切に、薬を一錠取り出す。
水の入ったコップを傾け、薬を喉に流し込む。
ああ…
目の前が、かが、かがやいてる、すき、きもちい、たのしい、ぐにゃぐにゃする、さいこう、すき、すき、すき。
ゆめみたい。ずっとここにいたい。
すき。さいこう。すき。さいこう。すき。さいこう。さいこう。さいこう。。。
こんな状態が3時間程続く。
薬が切れると、極彩色の夢のような空間はなく、いつもの自分の部屋があるだけ。
なんで。なんで数時間しか続かないの…?
やめられなくて、つい飲んでしまうのだ…
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二粒目を瓶から取り出す。もう水で飲み込むのも億劫でそのまま噛み砕く。
(早く、はやく…)
そして、やってくる薬の快感。ふわふわとした沼に沈むような感覚があり、思わず私は床にへたり込む。
「あは、はは、あははははあああ!」
そのまま後ろに倒れ天井…今は虹の溢れる美しい空間を、眺めた。周りには異形のモノが溢れている気がするが気にしない。
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からからから。
何粒目だろう。とりあえず、最初の頃のように一粒では満足できない体質となってしまった。
一度に何粒も消費してしまうのが勿体無くて、せめて、と、口の中で舐め回す。
そして、やってくる快感。やった、やっぱり、さいこう。さいこう。さいこう。
このねつをのがしちゃだめだ。まっててね。
何を考えているのかも曖昧な状態だが、それでも、この幸せがずっと続けば良いのに、という欲望は頭を支配している。
実はもうお金が殆ど無く、さっきまで「薬が買えない!」とパニックを起こし、部屋をぐちゃぐちゃにかき回していた。今はとりあえず落ち着くために、残り僅かな貴重な薬を飲んだのだが…
汚い部屋や、兄の叱る声、全てが遠のいていくから不思議だ。
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えへへ。
私、自分の生活費を前借りして、お薬買っちゃった。
でも、いいよね?
段々と提示される薬の値段が高くなっている気がする。でも、それを気にすることもできないほど、薬を目の前にすると、貪欲な欲望が私を支配する…
からから。からからん。ころ。
手に出して、貪り、咀嚼する。
はは。あはっはははあああはっはっははっっっははっっっはっは!!!!
両手を広げてひたすらな全能感に身を委ねる。
お金がどんどん無くなってく?そんなのどうでも良い!私はできる!なんでも、でき、る!!!
そう、今ならあの憎い女も、簡単にやっつけられる気がする。
しかも、この時だけ、不思議と普段ならあの女の事を考える時に感じる、憎しみが突き上がってくる感覚、胸が締め付けられる感覚がなくなる。
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あまりにも生活費を前借りするので、兄がお金を引き出させてくれなくなってしまった。
仕方なく、クレジットカードを何枚も使う。
これは兄には言っていない。
私はもう薬に依存している。依存、ではもうないかもしれない。
薬といえば私。私といえば薬。
ウジが死体に湧くように、切っても切れない醜くて汚い関係。
現実味が全くと言って良いほど最近ない、のだ。
あの薬特有の快楽以外何もない空間。それに慣れ切ってしまった今、現実は苦いことの方が多い。
今までは苦痛でもなかったのに。
今までは、いままでは…
なんて恥知らずな女。
お兄ちゃん、ごめんなさい。お金も、お薬のことも、ごめんなさい。ごめんなさい…
でも、でも!
ああ!
まるで人に優しく触れられるような桜色の幸せ、温もり!
当然、やめるなんてできない、薬がしまえない。
ああ!
誓いの声がしてるよ、「絶対に…、…、……だよ。約束ね。」
逃すわけがない、今度こそ追いついて、追いついて………
ああ、でもやっぱり、逃げたい。
記憶の一欠片、私の人生最悪の出来事。
赤黒い記憶を、薬で、お薬で上書きしたいな。
光る七色の快楽で塗りつぶせば、やはり、黒になってしまう。
元の色も最悪だが、今も到底良いとは思えない。
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私と、兄はいわゆる孤児だ。
両親はおらず、施設を出たあとは、二人で暮らしていた。
兄はまあ、その顔と生来の優しさを存分に発揮しそこそこ人気のホストとなった。
私はほぼ兄に養ってもらう形で、細々とバイトなどをする生活だった。
そこに割り込んできた、「あの女」。
兄が自分に惚れていると勘違いして、仕事上仕方のないことでも、いちいち責め、兄を半壊させた女。
家に爪が届いたこともあるし、兄を付け回したし、ひたすら兄を孤立させようとしたり…
彼女は「兄を思ってこそだ」などと抜かしたが、私からすれば悪魔の所業だ。
まあ、そして、兄はとうとう耐え切れず、警察に通報。
厳重警告を受け、泣き崩れる彼女に、優しすぎる兄は、優しく「ごめんね。」と謝った。
「ごめんね。でも、絶対に、僕は君の事を忘れないよ。正直結構怖かった…でも、ここまで追い詰めちゃった僕も悪い。罰として、しっかり覚えておくから。もうくよくよしちゃだめだよ。約束ね。」
まあ、言い方のせいでもあるが。女は恋と逆恨みを混ぜてこの後とんだことをしてくれた。
つまり、兄を物理的に包丁で刺して、自分のモノにしよう、という。
私もその現場に居合わせた。兄から血が溢れ、女は狂ったように笑い、通行人は慌て、悲鳴を上げ、私は兄の血の中で崩れ落ちる兄を抱き抱え女を見上げていた。
その時私が何を感じていたのか、はっきりと覚えてはいないが、とりあえず兄をここまで追い詰めやがったあの女は、一生かけて憎んでやる、と心に誓っている。
しかし、女が警察に捕まった後も、心と体に傷をつけられ、私達はボロボロだった。
生き苦しい、と感じている私に、兄のホスト仲間が「薬」を進めて、私はちょうどその時自分用の、バイトで貯めたお小遣いがあったので試しに購入…という流れに至った。
それが、悪夢の始まりである。
つまり、元を辿れば、あいつが、あいつ、が、悪いのだ。
長過ぎ!?
前後編どころか前中後になるかもしれないです。はい。
あと、これpg12で大丈夫ですかね…?よかったらコメで教えてください…
薬物に関しては、素人なので、稚拙な表現となっております。
でも、薬物、ダメ、ゼッタイ。
妄執のゲルニカを小説にするのめちゃむずいです。なんか絵にも伏線ありそうだし…
僕もリクエストで初めて知りました。まだ知らない人は興味あれば聞いてみてください。ただ、色々ネタバレかもしれないです。
まあ、こんなキチガイ小説、ここまで読んでくださり本当にありがとうございます!!
2459文字もありますよ?おつかれ様です!