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何処かずれた昔話 第参話 おむすびころりん
投稿遅くなってすいません。
むかし、あったこと。
あるところに、じいさまと、ばあさまがおった。
ある日じいさまは、ばあさまに作ってもらった弁当を保冷バックに入れて、山の手入れに出掛けた。
働いていると、左腕につけたスポーツブランドの時計が、十二時を指した。
お昼だ。
ベンチに腰掛けて、保冷バックから弁当を取り出すと、おむすびを一つ、落としそうになった。
じいさまは慌てて手を伸ばしたが、ころころ、ころころ、転がってしまった。
「待て待て、おむすび、どこへいく」
じいさまはおむすびを追いかけた。
落ちたものなど、食べとうないが、ラップをポイ捨てする事になるのは嫌だった。
おむすびは、ころころ、ころころ、転がっていき、やがて穴の中にすとん、とおちた。
すると、中から鈴のような声がした。
いっぽん ぱちりん ちょきりんこん
おむすびころりん すっとんとん
「ほう、かわいらしい声がしたぞ」
じいさまは不思議に思って、勿体無いがもう一つおむすびを、ころころ、ころころ、転がしてやった。
いっぽん ぱちりん ちょきりんこん
おむすびころりん すっとんとん
「あやあ、なんてかわいい声だ。いや待てよ、中に何がいるんだ? もしかして、新種生物か? それならば、動画を撮らねば、なるまい」
スマホをかざしながら、じいさまはもう一つおむすびを転がした。
その時。
「じいさま、美味しいものをいっぱいありがとう」
穴の中から子ねずみが顔を出したんだ。
「お礼に、ねずみの国へ来てください。さぁ、おらのしっぽに捕まって、目を瞑って」
「ごめん無理」
それに対し、じいさまは即答した。
それもそうだ。じいさまは、ねずみを害獣扱いしているのだから。
「・・・・・・は?」
ややあって、即答に対する返事が返ってきた。
ねずみの対応も、また然り。
「だから、無理」
「はぁ、そうですか・・・」
「そこらへんのねずみとか、衛生観念がちょっと、ね」
そう言うと、じいさまは一目散に家へ帰りましたとさ。
「松谷みよ子 かたりの昔話 ママお話聞かせて 生きる力を育てるお話編」(小学館、2002年4月1日 初版第一刷発行)より。82〜87頁「おむすびころりん」文、藤かおる 絵、瀧原愛治
上記の話を一部引用。