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能力境の改革記 #2
まだ2話なのに過去に遡ります。お許しください。
電車の中でアイデアできちゃって書くしかないんです!!
るうきっきと茉莉さんのコンビ好き
ちなみに理の「るうき」っていう名前の由来は「ルーキー」から来ています。
なんで理でるうきって読ませるのかは、適当な名付けです。
理目線ですよ〜
それはあたしが能力境に来たばかりの時のことだった。
理「………ったぁ…なにここ」
???「あら。お目覚めですか?」
視界には、鴉を彷彿とさせる、光沢のある黒く大きい翼を持つ女性だった。
何か頼れそうな人なので、話しかけてみた。
理「あの、さっきまで街を歩いていたんですが……」
???「そうなんですね。それでは、《《呼び込み》》かもしれません」
理「呼び…込み?呼び込み君…?」
???「いいえ、あのスーパーでよく見かけるやつではありませんよ。」
女性は背中を支えてくれた。
雀「|鴉館《からすや》 |雀《すずめ》と申します。以下お見知り置きを〜。」
理「…っと、雀さんですね。」
〈|鴉館《からすや》 |雀《すずめ》。鴉の人間動獣で11万9622年生きている。〉
〈人間動獣は不老不死ではないがかなり死ににくい。〉
〈ありとあらゆる万物と仲良くなる能力を持っている。〉
〈薬屋を営む薬師。二つ名は「戦斧の鴉」。〉
〈妖境の東端あたりに住んでいる。〉
雀「ここは能力境。能力を持つ者が集まる境界内です。決して物騒ではありませんよ。
あなたの前までいた現実世界よりもずっといいところです。」
理「…ここ、現実世界じゃないんですか?」
雀「現実ではありますけど、あなたが今までいた場所とは離れていますよ。
能力境といっても、能力を使えない人もいます。
そして何よりここでは異常事象が起こりますから、能力者が不足すると
いけないのですよ。ですから、能力の素質がある外の世界の人間を
定期的に呼び出しているのです。」
雀さんは、長い説明をした。
「こちらの世界」に来る時に頭を強く地面に打ち付けてよく考えられない。
でも、何を言っているかは、不思議と理解できた。
理「なるほど。…じゃああたし、素質あるんですか?」
雀「ええ、それはそれは素質がありますよ。能力を持たないのが勿体無い程ね。
ですから、あなたはもう能力を持っています。
“ありとあらゆるものを封印する”といったところでしょうかね?」
理「うそ…それ、人殺せるじゃないですか」
雀「それくらいの能力がある人じゃないと異常解決は難しいのですよ」
理「でも、悪用しなければいいだけの話でしょう?」
雀「その通りですよ。」
自分にとても強い能力がついてしまった。少し怖かった。
でもこれで人を救えるのならば…。
雀「この境界の異常は、強い能力者が起こします。
やめろって言ってるのに、しぶとい奴らなんです。
それを解決するのが“境界内異常解決家”。解決家も不足している上に、
異常解決のリーダー的存在が、境界にいないのです。
だから、あなたみたいな人が必要なのです。どうでしょう、異常を解決しませんか?」
どうやら自分は異常を解決できるくらいの力を手に入れたらしい。
理「…します。あたし、異常、解決したいです。」
考える前に喋っていた。
自分の力で、この境界内を改革できれば、それほど嬉しいことはきっとないから。
雀「そうですか、大歓迎ですよ!……それより、あなたの名前は…?」
理「あっ」
そういえば名乗っていなかった。
でも名乗ってもいないのにここまで話してくれた雀さんに感謝だ。
理「あたしは|藤原《ふじわら》 |理《るうき》です。
これからこの境界を良くしていきたい所存です!」
雀「では、これからよろしくお願いします。理ちゃん」
理「…それより、どうしてあたし、あなたの言ってることがわかるんでしょうか」
雀「ああ、先ほど頭を打ちつけていましたもんね。
それは、わたしとあなたが“仲良くなった”からですよ。」
---
それから2週間後。
異常が発生するまで、能力境の中のあまり調査の行かない場所を調査する役目になった。
雀「こんにちは〜理ちゃん。今日は妖境に行って欲しいのですが」
理「妖境?……の、どこですか?」
雀「ええ…最近、近づこうとするとレーザーが出現するといわれている城です。
とても冷たいレーザーなようです。
とはいってもトレーニングを怠らない理ちゃんなら、絶対に生存できる
程度のレーザーですからね」
理「…は、はえ〜…ちょっと怖いですね」
雀「なんなら、当たってもなんともなかったという情報もありますよ。
ただの見掛け倒しなのかもしれません。それも含めて、調査をお願いします」
理「えっ、え、ちょっとー!?」
雀さんは知らないうちに別のところに消えていた。
空気とすら仲良くなったのだろうか…?
---
妖境にはあまり足を踏み入れたことがなかった。
だけど調査のためには行くしかない。
しばらく歩いていると、雀さんの言っていた城のようなものがあった。
開けた場所にあり、まるでとても敷居の高い場所のような印象だ。
理「ある意味、本当に敷居の高い場所なのかもしんないけど…。」
と思っていたその時だった。
理「…眩しっ!?なーんにこれ!!!」
周囲が青白く光り、雀さんの言っていたレーザーのようなものが出現した。
それに加え、寒い。ただでさえ外が寒いのに、レーザーの近くがとても寒い。
その奥には微かに、メイドさんのような人がいた。
レーザーは呆れるようにどんどん薄まり、奥の方のメイドさんの姿が鮮明に見える。
理「えっ…本当にメイドさん?…なんですか?」
???「…レーザー、よく避けたものね。まさか、調査かしら」
理「お?え、ああはい、調査ですが…」
メイドさんはこちらを睨みつけるような目つきで見つめる。
理「あ…その、あたし、藤原と申します!異常解決家なんですが…その、
異常が起きるまで、調査の入らない場所を調査しろということで、
ここに来たのですが!」
???「…ああ、………そう!」
だんだんとメイドさんは笑顔になった。不自然で、作られたような笑顔だった。
羽塚「私は、この城のメイド長をしている|速川《さかわ》 |羽塚《はつか》です!
話は聞いています、理さんでしょう?調査、どうぞ!」
理「え、あ、はい…。」
調査にここまで乗り気な人は初めて見た。
何か演技をされている気がして、半ば怯えながら羽塚さんに着いていった。
理「あの…ここのお城のメイドさんが妖精ばかりなのは知っているのですが…
先程のレーザーを張ったのは羽塚さんでしょう?
妖精の張るレーザーには見えませんでした」
羽塚「そりゃあ、私は人間妖怪ですから。妖精のメイドは、無能で困りますわ。」
理「妖精のメイドさんすごい言われよう…」
羽塚「私が人間妖怪であるメイドだからメイド長に任命されたのです。
この境界に来た時から、《《ここ》》で働きたかったのですよ。」
理「あ、このお城…何というお城なのですか?」
羽塚「ここは|幽魔城《ゆうまじょう》。幽霊様や悪魔様を高貴な扱いをする
境界内で最も豪勢な城です。」
理「豪勢…そう、か。まあ、最もかはわからないけど…」
羽塚「…?」
羽塚さんはこちらを見て睨んだ。
理「ぅ、何でもないです!」
羽塚「…分かればいいんですよ」
羽塚さん、ちょっと怖い…?
---
お城の中は、外より暗かった。
羽塚「ほら、外、寒かったですよね。部屋を温めておきました。
8月だというのに、どうしてこんなに寒いのでしょうね」
理「そういえば8月でしたね…。今、7度じゃないですか」
羽塚「変ですね〜。」
理「…境界ではこれが普通なのですか?」
羽塚「………」
羽塚さんは思いっきり無視をした。
何か触れてはいけない領域に触れたようで、怖かった。
遠くの方には、いかにも悪魔らしい大きく黒い羽を持つ人?がいた。
理「羽塚さん。あの方は?」
羽塚「あの方は、この城の最高権力のリニア様です。」
理「リ、リニア…?」
理(新幹線…?)
羽塚「ほら、挨拶でもしたらどうですか?」
理「あ…羽塚さん、こんにちは」
羽塚「違う。リニア様に」
理「すみません…」
自分の間抜けさに、みずから嫌気がさす。
リニアさんは、腰に手を当てながら仁王立ちをし、こちらを見つめていた。
「挨拶をしろ」と言わんばかりに。
理「……こんにちは、リニアさん。あたしは、藤原 理と申します。
異常解決家で、異常解決のリーダーを担っております。
異常が起きるまで、調査の行かない境界内の場所を転々とし調査をしています。」
リニア「あら、そう。…理ね。羽塚?ちょっとこっち来なさい」
羽塚「ええ、リニア様。どうされました?」
リニア「__どうして私の名前を言ったのよ!《《バレる》》じゃないの!__」
羽塚「__大変申し訳ございませんわ!でも、こんなガキが《《わかる》》とは思いませんわ。__」
ごにょごにょしてて何を言っているかはわからなかったが、おそらく自分が介入するもの
ではないと思ったので、放っておいた。
リニア「と、とにかく、もう十分調査はしたでしょう。
さあ早く帰りなさい。こちらも、やることがあるから」
理「!?早くないですか!?」
羽塚「はぁ…リニア様がこう言うのよ?」
理「…でも、あたし、調査で来てるので!」
リニア「はぁ…。めんどくさい子ね?仕方ないわね…ただ、奥の方だけを探索すること。
そして、調査するなら、奥の奥まで行って、10分は戻ってこないこと。
いい?」
理「………はい!」
奇妙な条件だった。自分はこの条件により何をされるかはよくわからなかった。
だけど、とりあえず警戒はしておいた。
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理「なーんだこれ…迷宮じゃん……。」
終わりない迷路に閉じ込められた感覚で、なんだか気分が悪くなってきた。
でも、まだ入ってから体感的には5分も経っていない。
リニアさんの言いつけ通り、10分はいなければならない。正直、早く帰りたい。
というより、戻るに戻れない場所まで来てしまったようで、
歩けば歩くほど、入り口まで遠ざかっている感覚だ。
そのとき、ガラッと、門が閉まる音がした。
理「!?……………まさか」
理「……閉じ込め、られた…………………?」
幽魔城はどんなところなんでしょう…?
そして羽塚たちの思惑とはなんなんでしょうかね〜
鴉館 雀の詳細
https://tanpen.net/novel/a8337be2-c583-4d52-af4b-dffaf228d42b/
速川 羽塚の詳細
https://tanpen.net/novel/06e4751a-93e4-437b-9846-17c3902638ca/
リニアの詳細
https://tanpen.net/novel/def42945-7b52-49a4-9d8c-0afa31fb582b/