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【意味怖シリーズ】監視カメラ
俺はストーカー被害に遭っている。
最初は「愛してるよ」と書かれた手紙がポストに入れられていて、
「あれ、隣の家と間違えたのかな?」などと軽く思っていた。
しかし、数週間前から家のポストに髪と手紙が入った封筒が入っていたり、
俺が映った写真がドアに貼られていたり、玄関口に小動物の遺体が置いていたり、
かなり露骨になっていた。
そしてここ最近、ついに家の中にまで被害が及ぶようになった。
寝室に「なんで振り向いてくれないの」「私はこんなにあなたを愛しているのに」
などと綴られた手紙が大量においてあったり、異臭がする人形が風呂に沈められて
いたり、正直気持ちが悪く、一刻も早く犯人を特定して警察に突き出したかった。
そして昨日、ついに「呪ってやる」と殴り書きされた手紙が届いた。
俺は恐怖に震え、思わず友人に相談した。すると監視カメラを勧められた。
だから俺は、監視カメラを使ってみることにした。
俺は日中は仕事でどうしても夜まで家を空けなければいけないが、
監視カメラなら24時間家を見張っていてくれる。
これで少しでも犯人が映り込めば、真っ先に警察に通報してやる。
今日はかなり遅くなってしまった。
時刻は夜11時30分。正直今すぐにでも寝たいところだが、
監視カメラの映像も気になるところだ。それだけ確認してから寝よう。
被害に遭うのは圧倒的に寝室が多いため、寝室にカメラを置いておいた。
俺の寝室は入って奥右側にベッドがあり、反対側に大きめのクローゼットがある。
手前右側には机があり、花瓶には俺が差した百合がゆれている。
俺は花瓶の裏に隠しておいたカメラを手に取り、そのままベッドに転がる。
そしてカメラの録画機能を止め、日中の映像を確認し始めた。
もう画面の中は夜になった。ここまでは変化なしだ。
俺は眠さを紛らわすために大きく背伸びをした。
机の花瓶が目に入る。
と、その時、俺は気付いた。
俺が生けていたのは白百合のはずだ。なのに。
--- `なぜあの花瓶には黒百合が生けてあるんだ` ---
その時、画面の中で音がした。俺はそちらに目を落とす。
その時の時刻は11時26分。その画面には長い髪をおろした女が映り込んでいた。
手には、鋭く磨かれたナイフが握られていた。
女は花瓶に近づき、白百合を投げ捨てて黒百合を生けた。
そしてカメラに向かって二チャリと微笑んだ後、俺に囁いた。
--- `「そこから動かないでね。」` ---
そして女はそのままクローゼットに入っていった。
その直後にまたドアを開ける音がして、俺がカメラを掴んで映像は終わった。
俺は体を起こし、震えながらクローゼットに目を向けた。
その瞬間、カメラの電源が落ち、部屋は闇の中に落ちた。
解説
映像の最後、女はクローゼットに入ったが、そこから男が帰ってくるまでの
時間とはほとんど差がない。つまり、部屋から出る時間などないのだ。
最後に男が見たクローゼット、その中にはまだあの女がいる。
そして女はナイフを持っている。
男は、朝を無事に迎えられたのだろうか…
そういえば、黒百合には「復讐」「呪い」などの花言葉がある。
女は、いつまでも自分に好意を抱かない男に復讐をするのだろうか…
真相は、あの部屋のように闇に飲まれている。
こんにちは!「読書が好き🍵」です!
今作は「意味怖シリーズ」第二弾となります!
今回の話はややベタでしたね…しかし細かく説明したりオリジナル要素を入れる等、
私なりにアレンジを加えているつもりです!
もしアドバイス等があれば、言っていただけると嬉しいです!
それではまたどこかで会いましょう!