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なんかヤバめ御曹司とヤバめ無気力系男子に付きまとわれてるんだけど??【幼少期編】
初ブルーロック夢!
男主、名前固定です。まだそんなにメンヘラしてない(重い愛は作者の癖)。
彼との出会いは、今となってはそれはもう思い出したくもないぐらい恥ずかしい思い出だった。所謂、黒歴史というやつ。
保育園の年長さんの頃、家族で海外旅行に行くことになった。
勿論、俺にとっては初海外、初空港。旅行が決まったときはそれはもう大変な喜びようだった。旅行の日付が一日、また一日と近付いて来る度俺の心臓は音を速く大きくしていった。そんな浮かれまくりの幼い子供が実際にその場に着いたらどうなるだろうか。
答えは簡単。“迷子”である。
とまあ堅苦しい文章はここで終わりにしようか。
現在、俺今絶賛迷子中。
ヤバい。多分このままだと俺だけ飛行機に乗れないんじゃないか??ほんとに困った。このまま一生会えなかったらどうしよう。
そんなことを考えていたら目からは勝手に涙が流れ始めた。さみしい。心細くて、涙は止まることなく流れる量を増やしていく。
どうしよ。誰に頼ればいいの?国際線だからか外国の人も多くて、タトゥーが入った人や背が高かったりする人も多い。ちっちゃくて怖がりな俺には到底話しかけることなんてできない。
うずくまってわんわん泣いていると、近くで声がした。
「おまえ、だいじょうぶか?」
紫の髪色の人の良さそうな少年-玲王だった。
同じくらいの年のそいつは俺のことが心配だという表情で俺の顔を覗きこんだ。同じくらいの背で優しい声色の玲王。俺は安心してさらに号泣した。
「まあまあ落ち着けって。」
結局俺は話を聞いてもらって、しまいには抱き締められ背中を擦られていた。
やっと俺の涙が止まって来て、頭が冷静になってくる。探しにいかなきゃと思い立ち上がると、腕を掴まれた。
「まてよ。おれも一緒にさがしてやるから。」
「でも…」
俺がどうしよう、と迷ったのを見て、そいつは「いいから」と言った。それならお言葉に甘えちゃおうか。
「おまえの親、一緒に見つけるぞ!おれ、御影玲王。おまえは?」
「ぼく、なぐもあまね。よろしくね、れお。」
差し出された手を握って名乗ると、「よろしく、周。」という声が帰ってきた。
俺は素晴らしい協力者得たみたいだ。
玲王が仲間に加わった!
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玲王と一緒に空港を歩く。ばあやさん?って人や玲王の使用人の人たちも一緒に探してくれるが、なかなか見つからなかった。俺はどれだけ遠くまで行ってしまっていたんだろう。つい玲王と繋いだ手に力がこもる。浮かない顔をした僕を見て、玲王は頭を撫でた。
「このままみつからなかったらどうしよう…」とつい口から溢れる。言ってしまうと本当にそうなってしまうような気がして、また目の前が涙で滲んだ。
そんな玲王は俺の呟きをしっかり聞き取っていたようで、
「見つかんなかったらおれんちに来いよ!そしたら、俺らずっと一緒に居られる!」
ととんでもないことを言い出した。俺の涙腺は崩壊した。
玲王は「悪い悪い」と謝るが、俺は見たんだぞ。俺の顔をみてお前の口がニヤリと開くのを。
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「なんとお礼を申し上げてよいやら…!」
結局30分ほど経って、玲王の使用人の人がしっかり見つけてくれた。両親は半泣きで、俺の存在を確認した瞬間ぎゅっと抱き締めた。
俺は両親とはぐれ、いつの間にか一つ上の階のはじっこに行ってしまっていたらしい。
玲王の両親はそこまで気にしていないようだが、俺の両親はお礼として何か…とおろおろしている。本当に申し訳ないことをした。そんな俺らを見て、玲王はいいことを思い付いたといった顔で口を開いた。
「じゃあ、お礼として周のれんらくさき教えてくれよ。」
「でも、それじゃおれいにならないんじゃないかな…」
「いいんだよ。それ以外別にいらないし。」
最後まで俺らはそれじゃ足りないと粘ったが、口が上手い玲王に言いくるめられ両親同士が連絡先を交換し合う形となった。「俺、毎日連絡するから」とキラキラした顔で言われてしまえば、もうどうしようもなかった。
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あのあと、俺らは本当に毎日連絡しあって、旅行先の写真を送ったり電話をしたりした。最終的にはお互いの家に行ったり待ち合わせをして遊びに行ったりとそれはもう仲良くなった。大親友だ。
あれからすっかり成長して、俺らはもうすぐ小学校を卒業するというところまで来ていた。玲王は勉強◎運動◎そのくせ御曹司というとんでもないハイスペックイケメンとなっている。それに対して俺は普通に凡人。ただ、勉強だけはちょっと得意だった。その代わりに運動神経はゴミなので全然ダメダメだが。
『周はさ、卒業すんの寂しい?』
「そりゃ、6年間も同じ奴らと過ごしてたら寂しくなるだろ。」
『ふーん。…あのさ、俺ずっと思ってた事があってさ。』
「なんだよ。」
玲王がいつになく真剣な声色で話すので、俺は内心ドキドキしていた。もう電話したくないとかだったらどうしよ。俺、寂しすぎて全然死ねる。暫く沈黙が続き、俺は変な汗をかきはじめていた。
『…俺、お前と同じ学校に行きてぇんだけど。』
「え??」
まさかそう来るとは。すっかり嫌なことだとばっかり思っていたので、玲王の口から出た素晴らしい言葉に思わず口角が上がる。
『やっぱり嫌だよな。悪い、忘れて…』
「いやいやいや!?全然嬉しい方の“え”だけど。おれもずっとそう思ってた!嬉しい!」
『本当か?…そうと決まればさっそく中学調べようぜ!』
「喜びすぎだろ」と笑いながら言うと、本当に嬉しいんだよと返ってきた。ヤバい。今めちゃめちゃにやけてる。多分顔も赤い。でも、玲王も同じような顔だから。絶対に。
次の日、いつもだったら全然ダメな朝がめちゃめちゃスッキリ起きれていた。
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たくさん話し合って俺らは東京にある私立の名門を受けた。いや、完全に受けるつもりだった。
この日のためにめちゃめちゃ勉強したのに、受験当日俺はインフルにかかってしまった。もちろん受験なんて受けれるコンディションではなく、俺は泣く泣く受験の筈だったその日を寝て過ごした。
「本当にごめん。完全に俺のせいだ。」
『気にすんなよ。インフルは仕方ねぇし。お前のせいじゃない。』
玲王はそういうけど、俺は知っている。玲王が泣いていたことを。
俺は幼なじみを泣かせるために受験勉強をした訳じゃないのに。そう思っても、過ぎたことは仕方がない。そう諦めるしか俺らには残っていなかった。
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【出会い】
周→フルネームは南雲周(なぐも あまね)。心細すぎてギャン泣き。玲王が来てさらに泣く。優しい玲王が普通に好き(友愛)。
玲→一目惚れ。号泣周にキュン♡こいつ、俺が守らないと。
だが泣いている周は可愛いので虐めたくなる。周が好き(友愛ちょっと恋)。
【小学生】
周→玲王のことを大親友だと思うようになる。玲王が大好き(友愛)。
何よりも玲王が大切。玲王には激甘。普通に顔面が良いので不審者を知らず知らずの内に寄せ付けている。本人が気付いていないだけで、メンヘラ(+ヤンデレ)確定演出が出まくっている。クソみたいに鈍感な残念イケメン。そのうち絶対に襲われる。絶対にだ。
玲→連絡しまくって沢山一緒に遊ぶ。周と結婚する!とか言い出す。
一緒に遊ぶと可愛い周に不審者が寄ってきてしまうことや、友達の多い周に自分の知らない奴が声をかけて来たりする(本人は友達と喋って楽しそうにしている)ので、俺だけいればいいだろ?と周に激重感情抱く。周も自分に激重感情を向けていると信じて疑わない。
大親友兼好きな人。
一話目です。書くのに二時間半ぐらいかかっています。
周くんは玲王に激甘です。
「まだ(お礼を)返せていない気がするから…。」とのこと。
こんなことを言ったら確実に玲王宅へドナドナされベッドに投げ込まれる。
次回は凪との出会い編。
いつか番外編として玲王視点や出会いから受験までの出来事を書きたい。