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森
どうしよう、迷子になっちゃった…。
周りを見渡しても同じような景色しか見えない。木、木、木…。時々水が流れているところとか、大きな岩とか、目印になりそうなものはたくさんあったけれどなにも役に立たない。自分がどこから来たのかもわからないから、だんだんと焦りが出てくる。木の葉が日光を遮るから、少し暗い。
元々はただ遊びに行くだけのつもりだったから、ほとんど何も持っていないし、唯一持って来たスマホは圏外になっていてどこにも繋がらない。詰みだ…
歩けば歩くほど、疲れてきたしお腹も空いたし、喉も渇いてきた。時々流れている水も、泥が混ざってたりいていて飲めそうになかった。上を見上げても葉っぱが天井のように広がっていて、その隙間から光がチラチラと見えるだけだった。人の気配もないし、動物がいるわけでもなさそうだから、なんだか不思議な感じがする。焦れば焦るほど、変な汗をかくからどんどん身体中の水分がなくなっていくような感じがする。そろそろ疲れも空腹も喉もカラカラで限界だ。帰りたい。あぁ、どうしてこんなことに…。なんだかすごく泣きたい気分になった。なんで私が迷子に…もう嫌だよ。私が下を向いた時、静けさの中で、何かが動いたような音がした。ザクザクザク…私じゃない。誰かの足音のように聞こえた。誰?顔を上げると、そこに人が立っていた。私と同い年くらいのおかっぱの女の子。赤い着物みたいなのを着ていて、私の方を向いて怪しげに笑う。が、私は深く考える余裕もなく女の子に言う。
「助けてくれませんか?」
女の子は小さく頷き、今度はこっちに来いと言わんばかりに首を傾けた。私はゆっくり立ち上がり、女の子に近づいて行った。驚くべきことに私の疲れや空腹感は消えていて、なんだかふわふわとしたような感じだった。ついていくと、旅館のようなところについた。もう何年も掃除されていないのか、看板の文字が読めないほど古かった。女の子は旅館の中へ入っていきゆっくりと私の方を見る、だから、私は慌ててついていく。女の子は和室っぽい部屋に入っていって、なぜかたった一つだけ用意されている椅子を指差し、座れとでも言っているかのように私を見つめる。私は言われた通りに座った。部屋を見渡してみると、窓も押し入れもなくて、畳に似合わない洋風の椅子が部屋の真ん中ポツンと置いてあって、壁にはよくわからない絵が飾ってある。絵は、見れば見るほど不気味に思えて鳥肌が立つ。それに、なぜあの女の子が森の中にいたのか、そして、女の子はなぜ喋らないのか、ここはどこなのか。冷静になったからか、疑問に思ったことが次々と出てくる。もう一度周りを見渡してみると、あの女の子がいないことに気がついた。
「え、あれ…」
不思議に思った私は、立ちあがろうとする。だけど、なぜか体が思うように動かない。手足が異常な程に震え始め、呼吸も荒くなる。自分でもよくわからないことが起こっている。苦しい。なんでこんな…。
目が覚めると、女の子が目の前に立っていた。女の子はただ私を見ていて微動だにしない。
私はただ怖かった。相変わらず体は動かない。女の子は口を開いた。
「私に助けてほしいって言ったでしょう?」
彼女が喋ってるのを初めて聞いた。脳裏に深く刻み込まれるように鋭くて、冷たい声だった。私はきっと一生忘れない、そう思うほどだった。
私は一気に青ざめる。体がスーと冷たい空気に包まれるのを感じた。やばい、逃げないと、…頭が一気に真っ白になる。どうしよう、どうすればいいの?
彼女は顔の輪郭が歪むほど、口が裂けそうになる程口角を上げた。今まで見たことのないほど不気味な笑顔だ。私は恐怖でもう何も考えることができなかった。私、ここで死ぬの?
「助けてほしい?」
どこからか声が聞こえた。おかっぱの女の子は喋ってないみたい。なんだか、すごく暖かくて優しい声だ。誰が…?
「僕だよ。覚えていないかもしれないけれど…」
声の主は続けて言った。女の子には聞こえていないみたいだし、ただこっちを見て笑っている。
「僕が3秒数えるうちに、目を閉じて「もとの世界に戻りたい」って祈るんだ。」
もとの世界…、ここは別の世界ってこと?
「3…2…」
彼は数え始める。私は、目をぎゅっと閉じて、一生懸命祈った。戻りたい。帰りたい。家に帰りたい!
「1」
私が目を開けると、森の中で立っていた。戻って…これたってこと?私はあたりをキョロキョロする。だけど、森の出口らしきところは見つからない。
「こっちだよ」
さっきの声が聞こえた。
声をたどってみると、そこには猫が1匹。猫は、「んなー」と鳴いて、てくてくと歩く。根拠も何もないけれど、私はこの猫がさっきの声の主だと思った。私は猫についていく。猫は時々振り返り、尻尾を揺らしてまた歩き出す。なぜか安心感があった。歩いていくうちに、森の出口らしき所が見えて来た。やっと、帰れる…!
私が森から出ると、猫は森の中から見送ってくれた。私はありがとう、と言うと猫は「なぁー」と寂しそうに鳴いて、森の中へ戻って行った。
2080文字だ!!!!2000超えたの初めてかも!!!!ひゃっほー
書きたいやつそのまま勢いで文にしたから、おかしいとことか誤字ってるとことかあるかも
あと普通に語彙力とかよくわからんからないわ
ここまで読んでくれてありがとーね