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グレーゾーンは言語化できないよっていう話
約5500文字。
グレーゾーンは言語化できない。
常識、普通、平均、世の中、ネット情報、精神年齢、性被害……など。グレーゾーンには、極めて曖昧な言葉が乱立している。それはどうしてなのか。
簡単に言えば、概念や言葉、説明的文章なら語れるけど、具体例を出すと世の中の空気的にめんどくさくなる奴だから。なので、皆さん具体例を出してないんですね。
「具体例を出すとか、いやいやご冗談を。あなた自身(の状況)が具体例でしょ。それを今さら言語化しなくても、あなたグレーのなかに生きているんだから。こちらから言語におこさなくても、わかるね? グレーゾーンの具体例は、人それぞれだよ」
……みたいなことを、たぶん書いています。
**グレーゾーンが増える仕組み**
簡単に言えば、「グレーをルール的に言語化しようとすると、グレーゾーンが増える」ですね。このルールが公的になってくると、具体例ひとつ生み出すだけで|大事《おおごと》になるほど、ややこしくめんどくさくなります。
①法整備(あるいはその可能性の示唆)により、新たに線を引こうとすると、その周辺の具体例が取りざたされる
②それらの具体例を誰かが言語化すると、「周辺の周辺の具体例は?…」となり、メディアやインフルエンサーが注意喚起して、グレーが増える。
③時間経過により、メディア退散。グレーの民が小競り合いし始め、再度注目を集めようとして過激化する。①に戻る
**法的ラインの難しさ**
例えばショートケーキ嫌いな方がデモとかSNSとか頑張って、なんやかんやで可決してしまった「ショートケーキ禁止法」が可決→公布→施行されたとします。
世の中には以下のショートケーキが流通していました。
・まだイチゴが乗せられていないケーキ
・売られていないケーキ
・消費者の手元にあるケーキ
・廃棄予定のケーキ
・もう食べちゃった!
この内、法律で守られるのは「まだイチゴが乗せられていないケーキ」のみで、その他4種類のケーキは公正取引委員会などの調査が入ります。どう調べるのかは端折りますが……。
まあ、「ショートケーキ」に属するケーキは廃棄するか、
「施行されるまでは、まあ、グレー(なケーキ)だよね」となります。
4種類のケーキは可決時点では合法で、施行時点で「違法」となり、世の中には流通できませんから、施行される年度が近づくにつれて、徐々に表舞台からショートケーキが消えます。
しかし、これらは消えたように見えるだけで、(廃棄という名目で)裏ルートに行き、売買が行われ、バクバク食べられています。理由は、美味しいからね。
政府から見ると、物品規制なので税金が取れません。
こっそり食べられているショートケーキは、税金が上乗せされていない分安いし、美味いし、いやー残念!
「裏社会にも税金をかける法案を……!」
としても、そもそも法律を守らないのが裏社会です。裏社会の人たちとお金をやりとりをしたら「政治とカネ」に直結します。別の法律でこのことが厳禁されているんですね。この辺のグレーな曖昧さが政治問題の基礎なのだろうと僕なりに思いました。
納税できないお金=横領や横流し、裏帳簿みたいな扱いになります(たぶん)。
ケーキの流通量も減るので、
「看板ケーキが売れず、赤字経営だ。どうしてくれんだ!」
ってケーキ屋さんは怒鳴ります。需要はあるのに、供給ストップしたら、それはそうなりますね。
また、生クリームで使われる酪農牛乳とかも、
「赤字経営だ、どうしてくれんだ!」と波及効果で売れなくなります。
こっそり食べる需要があるということは、こっそり作られる供給源があるのです。ケーキ職人さんも表舞台から姿を消し、次の配属先である裏社会のキッチンでケーキを作る、と暗躍する側に味方します。理由は、ショートケーキを、愛しているからです……!
でも、よく考えれば、
「イチゴが嫌いなら他のケーキ食えばいいし。買った後で各自イチゴを退ければいいよね?」
の一言で済む話です。五秒で終わります。
え、五秒で終わるそれを、法整備……するの?
「可決→公布→施行」まで、何年かかったと思ってるの?
「ショートケーキ禁止法」って、何だこれ。
……というわけで。
こういうのが歴史上実際に起こったのが、アメリカの「禁酒法」です。その時はもっといたちごっこだったので、アレなんですが。
当時のアメリカ国民はアルコール中毒だったので、税金の取れない密造酒をあの手この手で作りまくり、裏酒場で何かのサービスで振る舞うという、なんか世の中全体がよくわからないグレーになりました。
世の中の需要的に、グレーを受け入れちゃって、禁酒法が機能不全(もう誰も守ってない)になり、酒税を掛けたくてたまらなくなり、ついぞ廃案になりました。
グレーは根絶しようとすると、グレーな裏取引に行くので、根絶なんてできないんですね。真っ黒は法律を守れない(社会規範外)んだから、法律という言語化をしても捕まえられない。「現行犯逮捕」するくらいしかない。
**現実は、グレーな具体例の堆積岩で出来ている**
……ので、ハンマーで叩いて細分化するとヤバいことになります。見えないハンマーという抽象概念から法整備を進めると変なことになります。現実に即していないからですね。思いっきり叩いてしまうかも。
概念は概念として、進めようね。憲法とか民法とかがそれっぽいよ。だから、この辺のでかい法律が今まで変更されないんです。変更しようとしても、抵抗勢力がいますし。たぶん外側の葉っぱは紅葉しても、老木は変わらないかなー。
うっすらとなら、わかりますね。
法律の土台だから、途中で基礎工事に変更を加えると、日本という土地に地盤沈下が生じる可能性があるのも確かです。
さらに憲法や民法などはある種の概念(権利とか)を宣言していて、
「その権利については現実担当の枝葉的な法律で制定していくね! 時代が変わったら枝葉的な剪定で(たぶん)改正してくよ!」
という宣言を基に制定されたのが目的でした。
一方、現実に即していない概念で法律作ってもね……。
ブラックだろうがグレーだろうが。今まで現実を(曲がりなりにも)下支えしていた具体例が言語化されたとしても、現実としてはあまり変わっていきません。あくまで「具体例」だから。
現実の一部が言語化されたからといって、それを改善しろよって言われても、校長先生のアタマが賢くなって、物分かりが良くなるわけではないんだよね。
**グレーの領域と「極めて曖昧な語句」**
そのため、「この例がダメだよ!」と、そのまま具体例を言語化すると世の中の空気的にアレだったり、性被害的に不適切だったり、R18的にちょっとアレだったりなどの大人の事情により「極めて曖昧な語句」を使って説明しやがるわけです。
この辺は冒頭に話した通りですね。常識、普通、平均、性被害、性犯罪、性的イタズラ……などの具体例が、大人の事情により超あいまいです。理由は言語化できないから。または、言語化しようとすると「極めて曖昧な語句」が量産されるから。
法的な枠組みで説明しようとするあまり、このような「極めて曖昧な語句」が量産されました。で、肝心の言葉の意味は明確に定義できない。しようとしない……できない。
昨今はグローバル化に伴い多様性とか言い出して、「極めて曖昧な語句」のカタカナ語バージョンも量産されました。もはや言語化に失敗していると言えます。
いつまで経っても実がならない、幹と枝です。
法律用語のオンパレードで、法学部の連中に解読させないといけない時点で、なんか日本語的にミスってるような気がします。言語学的な数学論ですね。途中式ばっかり出てきて、ごちゃごちゃして、ごにょります。で、出てきた答えも有効数字や累乗で記されます。
2537とか、3.14とか、12/415とか。こういう数字にしてよって思うんだけど。
727/36√251みたいな、すごくしっくりこない数値が出てきます。
これが、答え? よくこれで世の中に「理解してくれ」って言えるな。
無理数として、割り切れません。というわけで、何だこれミステリー。
**むかしよりマシ論**
法整備以前は、哲学や経済学(マルクスとか)などが根拠法としてやってたようなんですが、概念という架空を根拠に現実を推し進めようとして、貧富の格差が広がり、国民が怒って上層部がギロチン革命されちゃいました。
哲学的概念から法律とか作ろうとしたり、効率的に金銭的経済圏を作ろうとしたり、税金とかをせしめてやろうとした当時の政治家たちは、あまり良く分からない感じで「パクったろ!」と概念を使ってしまって、それが「人権ガー」って跳ね返りました。
マルクスさんなど、概念を作り出した人たちは大昔に既に死んでたので、責任取ってくれません。
それ以前になってくると、絶対王政の中世時代になってきます。
王様のみならず、王様のバックに神さまが出てくるので、やっぱり神という概念が根拠法になってきます。王様の威光は神の血筋だ……! 的な流れです。
その辺の神さまの住まう世界について、ソクラテスさんやプラトンさんは、概念として定義して、理性的にせっせと論破していました。
彼らも、キリスト教的な何かを信望していたっぽいので、哲学や経済学は、神の存在を否定したとはいえ、「世の中に既に流通してるもん使ったろ」、「使えるものは使ったろ」な精神でした。
不確かなものを概念として定義して、それをアタマの中に召喚して、アタマの中で考えた論理という枠なら何かいけるんちゃう? と、ちょっと言語化に固執する感じになりました。
**ねえ。現実って、そもそも言語化できんの?**
ここで読者の皆様に聞くんですが……。
現実って文字で出来ていますか?
違いますね。
……ん、ネット?
ネットは、現実ではないよね。
文字は文字、ネットはネット。
現実ではなく、現実に即した道具の一つ、「文字でできた人工物の一つ」でしかありません。
※概念も「見えない道具」という意味で、道具の一つらしいよ。
※人工物=フィクションを含む。
そのため、ちょっと概念や道具を作りすぎちゃったようで、学問として学ぶフェーズになりました。作りすぎちゃった概念を二つくらいに分割しました。
存在するか否かは置いておいて、たぶん現実に即する概念、または拡張されすぎた見えない道具、不確かな神などの見えない|概念《もの》を再定義・概念化したものを「|形而上《けいじじょう》学」として学問的に分類。それ以外の触れる・見えるモノ(炎色反応などの物理学とか)を「|形而下《けいじか》学」としました。
まあ、この辺のラインはすごいグレーなので、よく分かりません。__僕も知ったかを発動しています……。__
見えるものは、再定義するまでもない。見えないからこそ擬人像や器として表現しまーす。形が見えないから、概念を見えない道具化して、その中身を言語で再定義する。
道具の道具化……入れ子です。はい意味不明わら(*^^)v。
・形而上=神の領域。まあ、人さまの言語では無理やから芸術やデザインなどの「視覚」に頼るやで。作品越しに見えない概念を表現するやで。抽象、理念、理性的な思考とかそうやで。また、先人たちが作った遺跡も、ある種の芸術品やから、大切に扱おうな。
・形而下=現実の領域。物理学とか。まあ、現実として見えてるんやから、たぶんいつか言語化できるやろ。(なお3000年経過しても未だ目処経たず)
というざっくりでいいかと、知らんけど。
まあ、形而上でも形而下でも、現実に即していない概念(特に神などの見えない概念)を安易に使ったら、国の方針めちゃくちゃになるよね。だから、政教分離しました。
また、「王様の威光は神の血筋だ……!」的な独裁国家にならないように、三権分立もしました。
よっしゃ。次は、より現実に即しているはずの言語化された概念を使いました。使ったんだけど、結果は年単位でかかる代物だし。
「まあいいか」と放置しました。
その間、統計的な何かで経過観察して、適度に法改正はしたんですが、努力むなしく。国の中に格差社会が生まれ、格差は分断まで行って、現代まで残りました。
これ以上言語化すると「よくわからない」になりますね。
**真っ黒を逮捕するには**
真っ黒は、もはや言語化できない領域……。
いや、「言語化してはいけない領域」なので、「現行犯」として逮捕する感じです。だから、真っ黒を逮捕するには言語ではなく、もはや視覚に頼ってるんですね。
「目撃者=警察官」ということで、そのまま逮捕できるように法整備が進みました。まあ、職業に権力を持たせるようシフトしたので、曲がりなりにも反発は起きました。でも、「まあまあ」となりました。
そのため、警察法みたいな根拠法を書きました。これがあるから警察官が現行犯逮捕ってできるんだよ、って感じです。これは現実に即している法律と言えそうです。
しかし、警察官がグレーになってくる……例えば汚職警察官だとすれば、どうでしょう。目撃したけど見て見ぬふり、をしていることは「グレー」ってことです。これを見極めるためのモノを|言語《ライン》化すると、その周辺にめんどくさい具体例が一杯生まれます。
やっぱり解決するには「現行犯逮捕」という感じになり、犯罪者と一緒にいるところに別の警察官を呼んで、汚職警察官を犯罪者として……とする感じです。
これ、グレーにしたのは、僕が勝手に具体例を提示したからですよね。
こんな風に「もし〜たら?」と可能性(空想や架空)を根拠とする具体例を挙げるのって際限がありません。フィクションです。
……という感じに、世の中にはフィクション作品が一杯あります。
現実には起きていない空想。現実には起きていない犯罪。〜かもしれない犯罪の手口……。創作者がリアリティを追求するため、多少ノンフィクション的現実感を設定に組み込むことはよくあります。それで、読者がその不快感を味わうことがありますが、創作者も読者も「これがフィクションである」という認識には変わりありません。
本を閉じれば「物は物」。
**まとめ**
このように、過去の先人たちが一杯具体例を挙げて、一杯法整備をしましたが、未だにグレーが残っている。その汲み上げられなかった具体例を公的に言語化せず、私的にフィクション化した。
「現実とフィクション」に分類された。
言語化できないグレーゾーンについて、うっすら分かりましたか?
参考:
人類で最も愚かな法律「禁酒法」をずんだもんで再現してみた…
https://www.youtube.com/watch?v=EgYVQwxCk_E