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笑
朝は嫌だ。
だって眩しい。
母の叱る声の様に鬱陶しいアラームが、とても嫌だ。
重い瞼、重い体と共に立ち上がり、行きたくもない仕事の支度をするのは、嫌だ。
一つの動作ごとに、休憩が入る。
睡眠欲が、私を引っ張る。
それでも結局は、遅刻せずいつもの場所にいる。
仕事が辛い訳では無い。
ただつまらないんだ。
何故、生きる為の行為につまらないなんて思わなきゃいけないんだ。
周囲の環境も、楽しんだところで楽になる訳ではないのに、やたらと笑顔を勧めてくる。
悪意は無さそう。
営業でもないのだろう。
それでも笑わない。
我ながら、つまらない意地だ。
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大して何も感動しないまま、一人電車に乗り込む。
あの日以降、この時間が救い。
生きる意味という程大層な感じではないが、大切。
車内は無機質だが、その辺のスマホ首よりは優しい。
窓の外に視線を落とす。
素早く流れ去る景色を、私は少しでも捉えようと必死である。
昼間の時、代わり映えしない景色をぼんやりと受け流す時とは、真逆。
今日は曇りで、星はよく見えない。
疲れて、瞼が重い。
欲に対し、私は無抵抗になる。
「おやすみ、世界。」
床の模様に向かって呟いた。