公開中
自分のBL小説キャラにした人が実は腐男子でした!!2
「ぎゃぁぁぁっぁぁぁぁ」
無理やり乗せられたジェットコースターにて叫んでいる......朝霧さん。
なんで私が隣にいるのかなぁぁ!?そこ落ちるのぁぁぁッぁぁ
---
どうしてこうなったか。
それは3日前に遡る。(え、回想が急だって?気にしない気にしない)
「高槻、時間あるか?」
私が廊下の自動販売機で飲み物を買っていると呼び止めてくる人がいた。
どーも!24歳OL兼BL小説家の高槻 礼奈≪たかつき れな≫ダヨ。
ある小説サイトでプチパズリ中の「甘くて切ない」甘切という小説を書いて
「高槻、高槻礼奈。現実へ戻ってこい」
おっとっと、私を口うるさく呼んでいるのは朝霧 蓮≪あさぎり れん≫さん。
私の上司兼編集者様なんだけど、詳しいことは前のお話を見てくれると嬉しいな。
「何ですかー?」
私は朝霧さんの方に歩きながら答える。朝霧さんとは違う部署だから前回の企画が終わった後は特に顔を合わせることもなく連絡もラ〇ンで済ませていたのだ。
「遊園地のチケットで二枚セットを二つずつ貰ったんだよ」
胸ポケットから四枚のチケットを朝霧さんは取り出す。
正元部長から要らないからとほぼ押しつけに近い形で貰ったらしい。
流石に取引先の人から貰ったものなのだけどあの人独身だから使いどころも無くて困ってる中噂で最近私とよくいるっていう朝霧さんが近くにいたから渡した(押し付けた)らしい。
噂のくだり必要だったかは置いといて
「私と朝海と朝霧さんで三人としてあと一人どうしますか?」
「あぁ、それなら」
何か朝霧さんに考えがあるらしい
「お、蓮。女の子とお話なんて珍しいじゃん」
「また来戸か」
壁から声が聞こえたと思ったら茶髪の朝霧さんよりも明るめなスーツ姿の人がひょっこりと出てくる。
私がポカンとした表情をしていると面白かったのか笑いながら茶髪さんが自己紹介をしてくれた。
「俺は浜井 来戸≪はまい らいと≫。明るい来戸って覚えてくれよな!」
朝霧さんが来戸は昨日まで海外出張していたんだと追加してくれる。私としてはなんか全体的にチャラい人だなっと思ってしまった。
私も一応自己紹介をしておいた。
さて、ここまで見たところでは純情ビッチ受け的な来戸さんだな......
「なんで来戸と俺達が一緒に遊園地行くんだ」
BL展開を夢想していると氷の朝霧さん塩マシマシverの攻撃が来戸さんへ放たれていた。会って早々これは来戸さん可哀想に。
少しフォローしたほうがいいのかな?とハラハラしながら見てたんだけど意外に来戸さんが強者で
「いーじゃんいーじゃん聞いてたらチケット一枚余るんだろ?旅には陽キャを一人は連れてけって言うじゃん」
屁理屈を混ぜながらヘラヘラと返してしまったのだ。あのいかにもな関わるなオーラを纏った朝霧さんに対抗できる人がいるとは......
「言わない。俺とお前は同僚なだけで特に仲良くする理由もないだろ」
「まぁまぁ、どうせ朝霧さんに誘える友達も居ないでしょうしいいじゃないですか?」
私は間に割って入る。
だって!!こんな面白いネタになりそうな人逃すわけないじゃないですか。あたりまえ体操ですね。ハイ
「礼奈ちゃん意外と辛辣なんだな」
苦笑しながら来戸さんが言った所で朝霧さんが「友達......いない......」と呟いているのに目がいった。そういえば朝霧さんメンタル豆腐なの忘れてたや。
そんなことないですよ~と当たり障りなく返しておいたけど。
「とりあえずいつ行きますか?」
「俺はいつでもいいけど!」
「お前が行くつもりなのが気に障るが実はこれ3日後指定なんだよ。大丈夫か?」
3日後なら丁度日曜日で私も朝海も空いている。
「オッケーです!」
胸の前でグッと拳をだしながら満面の笑みで言ってみる。来戸さんはいつでもいいらしいから聞かなくていいかな。
因みに後から聞いた話なのだけど朝霧さんと来戸さんは高校の時から一緒にいる相棒(来戸さん曰く)みたいな存在らしい。社内でも最近はなりを潜めていたけど有名なコンビだったらしい。これは今度のネタに使えるということで色んな意味でウッキウキな帰り道だった私であった。
---
家にて
「たっだいま~」
ウッキウキな私の雰囲気を察したのか朝海は怪訝な顔をしている。
「姉ちゃん、ついに怪しい薬にでも手を出したの」
朝海よ、帰って早々それはひどくないか。来戸さんに対する朝霧さんの態度並みにひどいよ!
「そんなわけないでしょ。遊園地に3日後行くのだよ。勿論朝海も」
チケットは朝霧さんが持ってるのだけど伝えておく
「姉ちゃん毎回私に聞かず予定決めるのやめてくれるかな」
はぁとため息をついてるのだけど否定はしてないから行くって事なんだろう。
「今日の夜ご飯は?」
「鍋」
一言簡単に告げられた最高の夜ご飯に私は飛びついた後寝てしまったのだけど、その遊園地で朝霧さんが大変なことに巻き込まれるのはまだまだ知る由もなかったのです。
---
遊園地へ ~朝霧の恐怖~
俺は簡単に身支度を済ませた後待ち合わせの駅へと向かう。
来戸ぐらいならさっさと置いていって早めに行っても良かったんだが残念ながら先に来たのは来戸の様だった。
「蓮、おはよー。最高の朝だわ」
「俺は最低の朝だよ」
本当に毎回毎回突っかかってくる奴だ。腐れ縁なんぞを通り越している気がするがこれ以上考えたくなくなったのでやめておく。
「それにしても早いな。待ち合わせ時間より5分前だぞ?」
「社会人は5分前行動は当たり前って習わなかったか?」
嫌味をたっぷりとのせて言ったが習ってねぇわ!という言葉と能天気な笑顔で全てを無にかえされてしまった。毎回コイツには何をやっても効いていない、もう諦めたほうがいいのだろうが負けず嫌いなたちでどうしても張り合ってしまうんだよな。そんな事を考えているといつの間にか高槻とその妹が来ていたらしく来戸と楽しそうに話している。
「高槻、と高槻の妹来たのか」
「どうも」
俺の言葉に応えるように高槻の妹は簡単な礼と一緒に言ってきた。髪を一本にいつも纏めている高槻とは違い妹はショートカットらしい。
「朝霧さんおはようございます!」
来戸と話し終わったのか妹の後ろから高槻がひょっこり出てきた。
「高槻おはよう」
「あ、朝霧さん、来戸さん。紛らわしいので私は礼奈で妹は朝海って呼んでください」
確かに紛らわしいがあまり親しくもない女性を呼び捨てにするのもどうかと思ってしまう。
「オッケー礼奈ちゃんと朝海ちゃん!」
この時ばかりは来戸の能天気さに嫉妬を覚えた。
「じゃあ俺は今日だけ礼奈さんと朝海さんと呼ぶか」
今日だけという所で何か高槻が目で訴えていたのだがろくなことが無さそうだから無視をする。
「あのーそろそろ電車来るんじゃないですか?」
大人三人の中いつ入るか頃合いを見測っていたのだろう高槻の妹が告げた。
「あぁそうだな。そろそろ移動するか」
俺たちは固まってホームへと移動した。
遊園地までは20分電車で移動してそこから徒歩で5分。何かと話しながらというか来戸の海外での面白話を聞いていたらすっかり25分は過ぎていて遊園地に着いていた。
「来戸さんのお話が面白かったからもう着いちゃったって感じがするなぁ」
「出張って大変な感じがしてたけど来戸さんが言うと全部面白く感じます。芸人さんっぽいというか......」
高槻姉妹は口々に感想を言っているようだ。一見かけ離れているように見えるが根本は似てるんだろうな。
「チケットは入場の方に変えてあるからもう入るだけ入るぞ」
はーい!といった元気な声とはいと遠慮がちな声が混ざって聞こえてきた。
この遊園地はどちらかというと地元密着型といった感じだが日曜日ということで人は多い様だ。
「どこから回る?」
呟いてから定番のコーヒーカップ、ゴーカートなどを回っていく。メリーゴーランドを降りたところで来戸が提案してきた。
「やっぱし次はジェットコースターだろ!」
途端に俺の顔が固まる。まぁいつも仏頂面だから周りからすれば差は無いのかもしれないが。
「いいですねジェットコースター」
「よしっ行きましょー!!」
高槻姉妹も同意しているが待ってほしい。実をいうと俺は絶叫系は苦手なのだ。来戸の奴絶対分かってる。分かってて言っている。
「ちょちょちょちょっと待ってくれ?」
「待たねーぞー!」
こうして来戸にずるずると引っ張られて俺の恐怖の時間が始まったのだった。
---
ジェットコースターの時間ダゼ☆ ~来戸の陰謀~
「では、皆さんいってらっしゃーい!」
蓮を無理矢理ジェットコースターの席に押し込んだ所で従業員さんの声が響く。ってかあの従業員さん可愛いな。
「楽しみですな~」
礼奈ちゃんは蓮の横で楽しそうにしているけど蓮は顔面蒼白で動いていない。まぁ、俺がヘタレなところを見せて失望させよーと思って乗せたから当たり前だけど。
「朝海ちゃんジェットコースター大丈夫?」
「大丈夫です。それよりも姉が......」
礼奈ちゃん?あんな楽しそうにしてるけど
「まぁ下りになればわかりますよ」
テ、テレパシー!?(っておい既視感あるぞ。)
そんな話をしたところでそろそろカチカチカチと聞こえ
体が少し傾いてきた。
さっきまで礼奈ちゃんと蓮の話し声が聞こえてたんだけど、どうしたんだ?
後ろを振り返ってみると蓮はさっき見たとして礼奈ちゃんも顔面蒼白でぷるぷるしていた。
「だから言ったのに」
同じように振り返りながらはぁとため息をついて朝海ちゃんは言っている。
その後ふわっとした感覚に襲われたかと思うと急降下していた。
「ぎゃぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁっぁぁ」
礼奈ちゃんと蓮の声が重なって空に吸い込まれていった。
「あー楽しかった」
俺達一向はジェットコースターを降りて次の乗り物に向かって歩いている。
「あれを楽しいと思える神経が分らない」
いつもの如く蓮に一刀両断される。
「まーまーこれで分かったでしょ。蓮がヘタレで怖がりってことが」
俺は礼奈ちゃんと朝海ちゃんにそう言ってあげる。蓮に騙されてるの可哀想だし。
「いや、知ってますけど」
「それが何か」
当たり前といったように礼奈ちゃんも朝海ちゃんもスンとしたすまし顔だ。
「へ?」
「あーそうしたらコイツ腐男子なんだぞ!」
これで、これで蓮から離れるはず。
「知ってますよ。私も腐女子だし」
フジョシ、嘘だろ。コイツに至っては効くはずのない類は友を呼ぶじゃなかったのか。
「らーいーとー」
復活したのか後ろから蓮のこれまでで一番ドスの聞いた低い声が聞こえてきた。ヤ、ヤベェ。こんなはずじゃ
「お前はまたそれか!!!毎回毎回俺の周りから人を払ってくな」
「だって蓮は周りに人がいたらカッコ悪いし」
そう。蓮は孤高の狼なんだ。一人でいるからこそかっこいい。これまでもこうして蓮が高嶺の花になるよう助けてきた。蓮はあぁ言ってるけど俺がこうしてなかったらよってたかって来た女子供にかっこいいと思わせなきゃいけないんだぞ。これ以上脳内で語ったら5時間ぐらい続きそうだからやめるけどとか脳内で会話をしていると
「つまり、来戸さんはメンヘラ攻めという訳ですか!!」
礼奈ちゃんが目を輝かせて間に入ってきた。
「え?いや、違うけど。攻めって何」
俺は混乱したからか本音がするすると口をついて出てくる。
その言葉に衝撃を受けたのか礼奈ちゃんは目をぱちくりしている。
「え、攻めの反対は?」
「守り」
当たり前だよな。なんでそんなことを今聞く必要があったんだろうか。
「おい、高槻ちょっとこっちこい」
結局蓮言い方戻ってるけどまぁいっか。何か二人で話してる。
「朝海ちゃんは何か分かる?」
「さぁ、私は何も」
多分全部知ってるんだろうけどあくまでも知らないと通すらしい。可愛げの無い子だ。
「とりあえずお前はお化け屋敷一時間耐久な」
戻ってきた蓮が普通に言う。
「イヤイヤイヤイヤイヤ俺お化け屋敷嫌いなのしてててててるよね??」
単語を聞いただけでも寒気がして鳥肌が立ってくる。足なんか生まれたての小鹿みたいになってるぞ。
「俺の嫌いなジェットコースターに無理矢理乗せただろ?」
にっこーと笑ってる。蓮が笑ってる。目が笑ってない笑みを見せてきてる。人生終了したかも。
「さぁ行こうか」
「朝霧さん、あんまりにっこりしすぎてるんで気味悪いですよ」
そしてまたまた辛辣な礼奈ちゃんだ。そうか?と蓮は神妙そうな顔をしている。あんなに表情が豊富な蓮は初めて見た......高槻礼奈、何者なんだ。
「じゃ、来戸を頼んだぞ高槻の妹」
「オケです」
俺は朝海ちゃんに押し込まれお化け屋敷に放り込まれてしまったのだった。
---
遊園地にて~高槻礼奈と朝霧蓮~
売店にて、朝霧さんと二人でお土産を選んでいるのだけど、私は朝海とお化け屋敷に押し込まれた来戸さんが気になって朝霧さんに聞いてみる。
「よかったんですかね?すごい嫌がってたけど」
「アイツはあんぐらいしないと仮の反省すらしないからな」
まだ不満に思ってるのか少しむっとしながらそう言っている朝霧さん。まぁ、楽しみにしていた遊園地で急にあんなことを言われたらそうなるもんだよね。しかも仮の反省すらって来戸さんはやはり強者......
「高槻の妹には申し訳ないな。見張り役を押し付けてしまって」
本当に申し訳なさそうにする朝霧さんに思わず吹き出しそうになる。
「大丈夫です、よ」
「何笑ってるんだ」
心外だ。とますますむすっとふくれる朝霧さんの顔にたまわずもっと笑ってしまった。
「だって朝霧さんそんな表情豊かだと思わなかったから」
「確かに、あんまり人前で笑ったりはしないな」
怖い笑みはできるのに。と言いそうになってやめる。メンタル豆腐な朝霧さんにこれ以上悪意は無いとしても辛辣な事を言ってしまうと拗ねちゃうかもしれない。
「あ、これどうですか?」
空気を変えるべく私が手に取ったのは美味しそうなマドレーヌ。会社のお土産にも友人のお土産にもなんにでも合いそうだ。
「いいな。それ買ってあとは来戸が反省するまで待つか」
パパっと朝霧さんにお会計を澄ましてもらって外に出てみる。
「後20分ぐらいあるけど高槻どこか行きたいところあるか?」
「じゃあ、観覧車とかどうですか?」
やっぱり遊園地に行ったら観覧車は乗っておきたいと思っちゃうよね~
ってことで観覧車に朝霧さんと一緒に乗ります。
「久しぶりだな……こういうのに乗ったの」
朝霧さんは奥の方に座って壁の方にもたれかかっている。
「ホントですね~社会人になるとこういうとこいかないし」
私は小説とか書いてたら尚更行く気無くなるからなぁ。
「景色綺麗ですよ。朝霧さん」
ぽつぽつと着き始めた灯りと夕日が差し込む町が綺麗で思わず端の方に小さくなってる朝霧さんに呼びかける。
「俺は大丈夫だから高槻は景色を楽しんどけばいい」
よく見たらぷるぷる震えてるような......
「まさか、高いところも苦手なんですか?」
「格好悪いからあんまり言いたくなかったんだけどな」
そんなに苦手なものが溢れているなら誘わなければよかったのに。今も少し苦々しげな顔をしている朝霧さんを見て思う。
「あ、もうすぐ終わりますよ。一目だけでいいから。ね?」
「じゃ、じゃあ少しだけ」
すすすすすすすと慎重に向かいの席を移動する朝霧さんを見て吹き出しそうになったのは私の秘密だ。
「確かに、綺麗だな」
ぽつりと漏らされた言葉だったけどそう思ってるのがしっかり伝わった。
それにしてもイケメンだなー、朝霧さん。この状態で一枚の絵になるというか
「どうした?俺見て」
あ、ヤベ見てたことバレた。
「いや、何も」
それから二人して景色を見て一番下に着くまでの時間を過ごした。
「ありがとうございましたー」
店員さんにお礼を言って観覧車を降りる。
「姉ちゃーん」
ちょうど朝海がげっそりとなった来戸さんを引きずりながらやってくる。たまに思うけど朝海って意外とパワフルだよね。私に似てというか......
「じゃあ帰るか」
そうですねーと頷きながら歩き出す。
「俺、もー遊園地行きたくない!!朝海ちゃん慰めて!!」
来戸さんは朝海に抱き着いて泣き真似をしている。恥ずかしくならないのかな年下に抱き着いたり泣き真似したり......
「気持ち悪いです。お化け屋敷でも脅かされるたびに抱き着いてきて......」
はぁと大きなため息をつきながら来戸さんを朝海は引きはがしている。微笑ましいなぁ。
「俺、こっちから行ったほうが早いからバイバイ!」
来戸さんが先にそう言って帰ってしまった。居なくなったのが悲しいわけではないけどやっぱり少し寂しくなってしまう。
「あ、姉ちゃん私買って帰る物あったから私もここで降りるね」
「ちょっちょっと朝海まで!?私もついていこうか?」
大丈夫だから。とパパッとバッグをもって電車を降りて行ってしまった。
最近話してなかったこともあり朝霧さんと二人きりというのは少し気まずい。ラ〇ンではやり取りしてるんだけどあんまりにもテンション違うから別人と錯覚してしまうのだ。
「あ、朝霧さん。次の小説どうしましょうか」
とりあえず気まずいから話しかけてみる。返事がない。声が少し上ずった気もするしやっぱり変と思われたかな!?どうしよう、それは困ってしまう。上手く言葉にできないけど。どうしよう、変な顔されてたらと思うと朝霧さんの方を向けない。ほら、朝霧さんのいびきが......ん、いびき!?
バッと朝霧さんの方を振り返ると疲れて眠ってしまってる朝霧さんがいた。確かに来戸さんの事やらジェットコースターやら大変そうだったしね。心配して損してしまった。
どうしようか。起こしてしまってもあれだし寝かしておくのがいいんだろうけど前髪が何故かス〇夫みたいになってるのが気になる。多分、観覧車でおでこぴたってつけて見てたからそのせいなんだろうけど。
私が少し近くで朝霧さんの顔を覗いているといきなりがばっと起きた朝霧さんのおでこと私のあごがぶつかる。
「いだぁぁいおdjぁじゃおああぁっぁ..ぁ..」
私の叫びが電車にこだまする。
「あ、何かすまん。というかどうやったらそうなるんだ......」
朝霧さんは寝てたから何が起こったのか分からないって顔をしている。
プシュー 沢ヶ町~ 沢ヶ町~
「あ、着きましたね!降りましょうか!!」
わざと勢いよく言って考える間を与えないようにする。
うん。考える間を与えたらどうなるか。人権が吹っ飛ぶ。明らかに朝霧さんサイドから見れば怪しいことをしていたって見れるし。
「私、帰りますねぇぇ」
ということでどうした?と頭が?でいっぱいの朝霧さんを置いて逃げ帰ったのであった。
つづく?