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彼らの苦悩はいつまでも続く#6
~降谷の部下side~
最近、上司や先輩が寝ない。
ゼロである降谷さんはかれこれ三徹はしている。
「降谷さん、寝てください・・・。」
「あとでな。」
パソコンから顔もあげず答える。
このやり取りは何回目だろうか。
先輩の一人である風見さんも寝ていない。
「風見さんも、降谷さんも寝てください!」
「今は無理だ。」
風見さんの隈は大分濃くなっている。
「ゼロ、みんな寝てって言ってるよ?早く寝てよ。」
そういうのはもう一人の先輩、諸伏さんだ。
「ヒロのほうが寝てないじゃないか。」
「ゼロのほうが寝てないって。」
・・・今回は諸伏さんのほうが寝ていない。
「皆さん早く寝てください・・・。」
「「「無理。」」」
~降谷の部下side終了~
~灰原哀side~
「はぁ、」
学校の帰り道、元気に喋っている少年探偵団を見ながらこっそりとため息をつく。
早く、もとの体に戻りたい。
すると、
「きゃー!」
悲鳴が聞こえた。
見ると、バックを持った男が走り去っていくのが見えた。
ひったくりらしい。
「追いかけるぞ!」
江戸川くんをはじめ、子供たちが一斉に走り出す。
私も追いかける。
「早いですね・・・!」
ひったくりは意外と早い。
「まずい!」
路地裏に逃げ込んでしまった。
「逃げられると厄介だ!灰原は俺と、光彦と元太と歩美ちゃんはあっちから回り込んでくれ!」
「おう!」
「はい!」
「うん!」
江戸川くんが指揮を取り、みんながそれに続く。
路地裏に一斉に入り込むと、ひったくりは倒れていた。
(どういうこと?)
「その人、なにかに躓いて転んでたよ。」
・・・喋りはじめるまで、もう一人の存在に全く私は気づかなかった。
青いパーカーに、ギターのケースみたいなものを背負った人だった。
「ラッキーだねコナンくん!」
「ドジだな~このひったくり。」
「とりあえず、警察に連絡しておきます!」
--- その時だった。 ---
(!)
鳥肌のたつようなプレッシャー、冷たい視線・・・。
(組織の人がいる!!)
すぐに江戸川くんの後ろに隠れる。
(偶然・・・だとは思うけど。早く逃げなきゃ、早く!)
そんな私の様子に気づいたのか、江戸川くんが
「じゃあ、警察が来るまで分かりやすい車通りの多いところで待ってようぜ。」
と提案してくれた。
「で、何があったんだ?組織の人間か?」
江戸川くんが小声で聞いてくる。
「ええ・・・多分あのひったくりは転んだと言っていた人。」
「やっぱりか・・・偶然に転ぶわけないから、あの人がわざと引っかけたんだろうなとは思ったけど・・・。」
「とにかく、あの人に気を付けて。」
(何者なの、あの人・・・。)
~灰原哀side終了~
時間的には降谷の部下サイドの数日後が灰原さんサイドです。
哀ちゃんのセンサーは組織メンバー全員に反応すると仮定しています。
星屑さん、大変遅くなりすいません。
読んでくださりありがとうございました!