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焔凍不鉄-9
「外来、日常壊したり。」
窓側の席は立てたペンがよく崩れる。
いつも通り瀬野は、暇つぶしと称して筆箱の中身のペンを片っ端から立てていた。
「瀬野!!」
「ひゃいっ!?!?」
国語教師の呼び掛けに驚きで声が裏返る。
教室のどこからともなく聞こえてくる笑い声に、動揺が強まる。穴があったら頭から埋まりたい。
「次、読んで」
「あっ…!?えっと…」
「182ページの前から5行目、初めから。」
「えっと…ひ、人々日常に動揺したり。馬は荒ぶり、雨降りの日増えたり…。」
真っ赤になりながら机に突っ伏す。
クラスの奴らが嘲笑う声が聞こえて、静かに手を握りしめた。
目が痛い。
「やらかしたなー奏架。黒歴史?」
後ろの席の|坂本陽《さかもとあきら》が茶化す。
「…うるさい!」
「黒歴史お疲れ。覚えとくわ」
「黙れ、◯ね…」
茶化しに消しかすを投げつけ、風にゆらめくカーテンを眺めた。
窓の隙間から溢れる外の寒気で下がる頬の体温に安堵する。
そしてそこから顔を覗かせる冬の始まりに、吐いた息が白くなった気がした。
「菓子谷、おい菓子谷。」
聞こえないふりをした。
「2年1組16番菓子谷勇也さん!!」
「んだよ!!」
「俺達から命令。」
今日は珍しくココアシガレットを持っていない、何かあったのだろうか。
「寝ろ。」
「……は?」
寝ろ、ただその2文字。
その短い単語を理解するのにここまで時間がかかるとは思わなかった。
一体なぜ、そんなことを言われなければならないのか。
「授業中も寝てるよ。何言ってんの?」
「菓子谷最近なんか元気ないじゃん?つまり寝ろよってこと」
そう言って友達の1人、|白井傍希《しろいほとき》は看護師をイメージしたかのような動きで菓子谷の前髪をあげる。
「…お前らには関係ねーよ!!」
ぶっきらぼうに言った後、はっとした。
前に自分で言った言葉が首を絞める。
だが今更後戻りは出来ないようだった。
「……!!」
開いた方が塞がらなくて、取り繕う言葉が思い浮かばなくて、ただ目の前を睨む事しか出来ない自分がひたすらに馬鹿馬鹿しくて憎らし__
「菓子谷……?」
「なんだよ」
「……なんで泣いてるんだよ」
「っは」
反論しようと、冷たい光を目に宿らせる。
その視線とは全くの正反対のようで、頬の感覚細胞は暖かい液体を認識した。
そんなわけ、と、否定した。
だが反論も虚しく、ペンを握る手が震えて、それを落ち着かせるかのように塩水が落ちる。
「………」
「今日はおめー勉強禁止な。俺達をほっぽった罰」
そう言って、|吉内菅斗《よしうちかんと》が菓子谷の本を本棚に戻した。
そして菓子谷の手を取り、校舎裏へ連行していく。
「ぅあ…!?やめろよ!!」
口では否定した。
だが、久しぶりに楽しいと、こんなに馬鹿できる仲間がいるのは幸せだと、束の間の幸福を噛み締める自分がいるのは確かだった。
リア友!!ごめんやっぱ読まないでほしいな!!
んで「あれ…ん?」とか思ったらマジで直で言ってくれ頼むよ陰口はトラウマなんだよ
圧 倒 的 ネ タ 切 れ
日常って書くの難しいんだよ!!()
中2からしかわからん表現なので一応解説
※感覚細胞=温度、感触などを感じる、全身に張り巡らされた細胞。五感はここからキャッチされ、脳に伝わる。