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美春視点 別に泣き虫なわけでは #6
ちょっとした性描写があります。
そこまで事細かには書いてませんが、苦手な方はUターンお願いします。
翌日、家に行ってみた。
お母様は迎えには来なかったので、一人で。
最初は「あー。放任主義なんだなー」なんて軽く思っていた。
幸い、病院から徒歩で10分ほど歩いたところにあったのでさほど疲れはしなかったけど。
なんだか昨日の陽飛さんからの言葉がよぎったが、自分の目で見たもの以外は信じないことにしている。
以前、色々あってひどい目にあったからだ。
パンっと両頬を叩いて活を入れる。
ちなみに家は古めなアパートだった。
今まであまりこういう場所に来たことがないので少しばかりワクワクしてしまったのは内緒だ。
「お、お邪魔します!」
部屋番号を確認して入る。
鍵は持ち物の中にあったので、開けて。
小さな部屋だ。キッチン、トイレ、そして―――
「⋯。」
畳の上に敷布団がひいてある。
その上ではお母様と、知らない男性が眠っていた。
⋯周りには衣服が散乱している。
何が行われていたかはもう、お察しである。
とりあえず、この小さな空間に自分の部屋があるとは思えないので隅の方で小さく座る。
すると、ガサゴソと布団から物音がした。
「んー?あ、今日退院だっけ?」
お母様がノッソリと起きてくる。服着てない!
一旦、今自分の着ている学ランの上着をお母様に被せる。
お母様は目を丸くしているが、驚いてるのこっちだから。
面会時、父親に逃げられたと聞いている。
つまり、父親はいないのだ。
では、この男の人は⋯?
「⋯新しい、お父様でしょうか?」
「⋯いや、昨日バーで会った人。」
カチコチに固まりながらそう聞けば、目をそらされた。
なるほど。なんとなく、昨日陽飛さんがお母様を悪く言った理由がわかった。
ただ、彼女が昔からこうだったとは思えない。
理由は、彼がお母様のことを悪く言っていないから。
それと、彼がきちんと教育されているらしかったから。
最後に、この高価なものが置かれていない部屋に立派な勉強机があるから。
きっとお母様は子供思いのいい人だったはずだ。
何があってこうなったかはわからないが、人間の性格はそうやすやすと変わらない。
これも私の経験則だ。
私は、ギュッとお母様に抱きつく。
ピクリっとお母様の肩が震えた。
「あなたに何があったかは今の俺にはわかりませんが、体は大事に、してください⋯!」
「勝斗⋯?泣いてる?」
言われて気付いた。確かに、今、泣いている。
何に?きっとここまでお母様が追い詰められていたことが悔しいから。
私は、お母様のことを最近知った。けれど、追い詰められる前に彼女を救えたなら。
「う、うわぁぁ、グズッ。うぇぇぇぇん!」
「よしよし。どうしたの?泣かないで〜?」
泣きじゃくる私をなぐさめる彼女の頬に、一つの雫が伝った。