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緑
飛び回る、駆け回る。
ワタシの庭は、今日も元気。
あんな時なんて無かったみたい…
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此処は、かつて「緑の庭」だった所。
皆が互いを見守り、首を絞め、勝手に苦しくなっていく。
肥料を奪ったり、水を捨てたりする者などは、袋のネズミで罰を受ける。
その様が愚かで、でも健気で、毎日飽きずに傍観していた。
でもある日から、みんな頭が良くなった。
誰も肥料を奪ったり、水を捨てたりしなくなった。
「何もしなければ何もされない」
それにみんな気付いてしまった。
本人達は、とても幸せそうだった。
自分を抑えてでも、孤独は嫌らしい。
一方ワタシはつまらない。
不平も不安も一つもない。
エンタメとしては最悪の出来。
いつしかこの席を立ち、傍観者から加害者にでもなろうとした。
でも、それは不必要だった。
300時間ほど前、イルカの群れが降ってきた。
それ等は、内に赤く明るい情熱を持ち、全ての緑を夢にしてまで、明るい赤を塗りつぶした。
自分の理想を押し付けた。
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火が飛び回る、音が駆け回る。
ワタシの庭は、今日から元気。
「緑の庭」だった時なんて無かったみたい…
でも綺麗。
だって、誰かの理想が叶ったんだから。