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“2人の世界を探してる”
唯
私はただ、運が良かっただけ。
--- 変わらぬ日常 ---
朝目を開けて、敷地内を少し歩き回る。何も変わっていないことを確認したら主様の部屋へ向かう。これが私の日常。|雪名《せつな》の日常。
「主様、失礼します。」
そう言って私は主様の部屋へ入った。この時期はまだ寒いので芋虫みたいに布団にくるまっている主様。少し可愛いとまで思ってしまう。
「主様、朝です。起きてください。」
「むり"ぃ、寒い…、」
布団から頭だけを出した主様が言う。
「ご自身の司っている物をお忘れですか!?自分で温まってください!」
「そんな気力でないよ…、寒すぎて…。」
主様はまた布団を頭まで被った
「もう…、私が朝食作り終わるまでに起きてくださいよ!」
この人が私の主様。|燿守《ようしゅ》様です。私は死ぬまでこの人に仕えると決めました。
朝食を作りながら考えた。
私は元々孤児だった。治安が悪く、すぐ争いが起きるこの地域では何も珍しくない。簡易的な施設で先生たちと暮らしていたある日、主様が来たのだ。1人子供をもらいたい、と。理由を聞いたら1人が寂しいからと答えていたのが印象的だった。主様が色々な子を見て回る中、私と目が合った。その時主様は「この子にします。」そういった。そこから私は主様の従者になった。なぜだかは思い出せない、また日記を読み返せばあるだろ。
いろいろ考え事をしていたら朝食を作り終えた。机にパンや野菜、おかずなどを乗せて主人様を呼びに行った。
「主様、着替えまで終わりましたか?」
「ん、今終わった。」
さっきの寝巻き姿とは全く違った洋服と和服を取り入れたかっこいい服をきた主様はまるで別人でした。
「「いただきます。」」
ふと、思い出して私は主様に伝えた。
「昨日は特に誰も来ませんでした。今朝も敷地内は変わりようはなかったです。」
主様は食べるのに夢中で聞いているのかわからなかったけど
「そっか。よかった。じゃあいつも通り模擬戦をして戦闘に備えようか」
としっかり飲み込んでから答えてくださいました。
「はい!」
私は元気よく返事をした。