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世界破壊計画ep.1
世界の存続をかける力のぶつかり合い。
打ち勝つのは絶望か、希望か。
「ライ」という力で世界を守る。
「ライ」。それは、地球を破壊することも、守ることも可能な強大な力である。このライは生きている中で、これ以上ないような絶望や苦しみを味わいしかし希望を見出し生きている人間に稀に与えられる力である。この力を有している人間は、世界でも数人だという。
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「うふふ、完成したわ…デストロクター」
白衣を身にまとった女性が暗い研究室でつぶやいた。彼女は眼の前にある二つの機械を前に、うっとりとした目を向ける。
「さあ、思う存分楽しんで地球を壊してちょうだい」
彼女がとあるボタンを押すと、機械の少女が目を開けた。
「デストロクター、起動。コード、クロハ1313」「デストロクター、起動。コード、トア1366」
二人の機械の少女は定型文のようにそう言い、女性の前に静かに佇んでいる。
「よしよし。しっかり起動してるわね。あとはこれを押して…と」
ふぅ、と一息ついてから二人のことを見る。
「はーい!クロハで〜す!」
「トアです。クロハ、うるさいですよ」
突然、まるで本物の人間のように話し始める二人。性格や感情など、あらゆる事を自然に且つ正確に制御できるようになっている。
「上出来ね〜。さて、あなたたちには仕事があるんだけど」
「地球を破壊、でしょ。もう組み込まれてるって」
言葉を遮ったのはクロハと呼ばれた少女だ。薄い紫色の内側に跳ねた髪を揺らしながら彼女はそういった。
「確認くらい遮らなくてもいいでしょう」
トアと呼ばれる少女はクロハにそういう。
「そうよ〜わざわざ遮らなくたって〜博士悲し〜」
「勝手に悲しんでいてくださ〜い」
「も〜クロハったら!あんたが持ってる力全部なくしちゃうぞ〜」
「いや、必要だから作ったのは博士でしょ!」
「もう、お二人とも。私たちは作って動いて終わりじゃないんですよ。博士は私たちを学校に行けるようにしていただかないといけないですし」
「私たちはちゃんと力が使えるか試さないとだしね」
「そういうことですよ、クロハ」
「じゃあ私は手続きやら誤魔化すための色々も準備しないとだから、二人は二人でちゃんとやっといてよね」
「はーい」「はい」
二人は返事をし、少し広めの部屋へ移動した。
「さてと、私は大鎌でトアは剣だよね」
「そうですね、出してみましょう」
クロハは手を前に出し、エネルギーをためる。クロハの手の前には紫色の光が集まり、丸い形になった。ふわっと風が吹き、光がパンっと弾けると、大鎌が現れた。
「よっし!私はオッケー!トアは?」
「やってみます」
トアは手を上にあげエネルギーをためる。ピンク色の光が天井付近にまばゆく光り、クロハと同様、丸い形になり、風を起こし、弾ける。トアの手元に大きな剣が現れた。
「確認完了です」
二人とも、どうしてその華奢な体で持てるのだろうかと思うほどの、大きな武器を持っていた。
ブンと鎌を大振りをしてみるクロハ。すると強風が吹き、ぐっと踏ん張っていないと飛ばされてしまいそうになる。
「おお……上々じゃん。これなら人間なんて軽くぶっ飛ばせるね…」
クロハはあまりの強さに驚きつつ、そう言った。
続いてトアも剣を大振りしてみた。するとまたこちらは鋭く一直線に伸びるような空気を切る音が聞こえた。
「ちょっと楽しい…」
そう呟いたトアだった。するとその後すぐ、
「二人とも、確認終わった?」
「あ、博士!そっちも終わった?」
「終わったわよ〜。そっちもってことは、確認できたのね。どう?使い心地は」
「最高だよ!」「最高です」
「ふふふ、なら良かったわ」
綺麗にハモる二人を見て少し笑う博士。
「さて、あんたたちは来週から学校に行くのよ。あんたたちの…私の生みの親がいる学校にね」
「楽しみだなぁ…"私"、どんなふうに生きてるんだろう?」
「しっかりと、確認してきます」
「ちゃんと仲良くするのよ、人間と」
「わかってるって!」
「さ、今日はもう休みましょう。カプセルに入って」
「おけー」「了解です」
二人はそれぞれ充電するためのカプセルに入り、眠りについた。
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「大丈夫、私はちゃんとできたよ。今日も、失敗しなかったよ、お母さん。…嘘だけどね」
暗い部屋の中で、自嘲気味にポツリとつぶやく少女がいた。
「きっと、明日には許される。誰も私を気にしないはず。…そうだと良かったのになぁ」
暗い部屋の中で、顔を膝にうずめ泣いている少女がいた。
しかし彼女らは、今彼女らの生きる糧となりうる希望を見つけたという。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
今度こそ完結させられるように努力します…そのかわりでもないですが投稿頻度は相変わらず遅いと思われますが。完全に一次創作なので私が考えた世界線に少しでも興味を持っていただけるととても嬉しいです!それではまた次回!