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日替わりお題 (8) 月の光
今回は比較的…簡単…かな…?
僕は絶賛片思い中。
わざわざ片思いの相手に「今日、僕の家に泊まらない?」と誘った。
それには理由がある。
「今日は泊まれるんだよね?」
「そ、そうだよ」
泊まったら進展あるかなあ、くらいの軽い気持ちだ。
あとで《《あの言葉》》を言わないとね。
「あ、あの…|優梨《ゆり》ちゃん、ちょっと夜空見ない?」
「いいよ~」
優梨ちゃんは本が好きで、優しい子だ。
きっと彼女なら、意味がわかるだろう。
「星ってさ…何億個、何兆個もあるのに、私たちの目だと見えないものもあるよね」
「う、うん。きっと、恥ずかしがりやなんだろうね。」
なんとなく、優梨ちゃんの気持ちが分かってきた。
何か、僕に思ってることがある気がする。
窓から月の光がさしこむ。
ちょうど満月で、優梨ちゃんは「満月だ!でも、ちょっとすれば新月かぁ…」
と言った。
今が言うチャンスかもしれない。
僕はゆっくりと口を開いた。
「…あの、月が綺麗ですね」
単純に「月が綺麗だね」という意味でもあるけど
僕が言ったのは告白での意味だ。
「これからもずっと、一緒に見てくれますか」
えっと確か…OKの意味?
「ありがとう」
そう返すと、優梨ちゃんは花が咲くように、ふわっと笑った。
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「なぁ、|湊斗《みなと》。なんで、優梨ちゃんと付き合えたんだ?」
優梨ちゃんは可愛くて人気の子だ。
狙ってる男子はひとりやふたりじゃないだろう。
「はは。それは秘密だよ」
「え~教えろよー!」
その日の夜、僕は眠れなくて窓を見た。
あの日と同じように、月の光がさしこんでいる。
あの日、満月でよかったな。
僕はそう思って、眠りについた。
ちょっと意味深ですね。
解説をちょいと。
満月の日は、相手の気持ちが見えやすいと言われています。
なので湊斗は、優梨ちゃんの気持ちが見える気がしました。
それが分かったので、湊斗は告白したんです。
…自分でも分からない。