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人の愛は武器となる【如月由羅過去編】
私は呼吸が使えなかった
由羅「はっ…!!やっ!!!」
どんなに刀を振っても、
由羅「すぅぅ…」
全集中・常中を習得できたとしても、
由羅「…っ!!はっ!!なん…、っで!!!」
呼吸を使うことが使えなかった
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鍛錬にも疲れ、縁側で休憩していると奥の方から足音が聞こえた
風華「由羅?」
それは任務から帰ってきたばかりの姉さん、
いや、
由羅「…風柱様」
風華「由羅からそんな風に呼ばれるのはなんだか慣れないわね」
姉さんは大きなため息をついて私の隣に座った
私の姉さん、風華姉さんは柱だ
風華姉さんは自分で呼吸を考えたんだって
元ある風の呼吸を、自分の扱いやすい風の呼吸に
私にはそんなことできない
私には、姉さんみたいな才能はないから
風華「自分に合った呼吸、見つかった?」
由羅「ううん、まだ」
風華「そっか」
気まずい沈黙が続く
風華「あのね、由羅」
風華「由羅は、決して才能がないというわけではないと思うの」
風華「だって、鬼殺隊にまだ入隊してないのにあなたは全集中の呼吸が使えるのだから」
由羅「…才能って言えるのかな、これ」
全集中の呼吸なんて基本中の基本
それを才能と言ってしまっていいのだろうか
風華「…気晴らしに人里を歩いてみたらどう?」
そう提案され、私は人里へ向かってみることにした
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由羅「って言っても何をしたらいいんだか…」
人里なんて数年ぶりだから、どこになんのお店があるのかすら覚えていない
由羅「…あ」
人里を歩く人々
その中には、男女で歩いている者たちもいた
笑って、幸せそうに
由羅「愛、か…」
由羅「いいなぁ…」
由羅「誰かのこと好きになれたらいいなぁ…」
そんなことを思いながら、人里を満喫した
その帰り道、
由羅「なんの呼吸が私には合ってるんだろう…」
由羅「水の呼吸はそもそも体にあってなかったし、」
由羅「炎の呼吸はなんか違うし…」
腕を組みながら歩く道には街灯があまりなかった
由羅「そういえば、姉さんと一緒に鍛錬した…」
由羅「恋柱様だっけ?あの人の使う恋の呼吸が1番しっくりきたんだよなぁ」
由羅「まあ、私身体柔らかくないから使いこなせないんだけどね…」
男「うわあああ!!!」
突然目の前で悲鳴が上がり、思わず身体がビクッとなる
前を見ると、男女が何かに襲われていた
鬼「きしし…w」
由羅「嘘…鬼!?」
それは明らかに鬼だった
でも私が倒せるの?鬼殺隊士でもないし、呼吸だって使えない…
鬼「きしゃああああ!!!!」
鬼が牙と爪を向け、男女に襲いかかった
女「いやあああ!!!」
守らなければ
そう思った時には足が動いていた
由羅「や、やめろ!」
鬼「きしゃあ?」
こっちを見て首を傾げる鬼
裂けたように開いた口からは長い舌が出ていた
由羅「その人達に近づくな!!」
鬼「おめえ、鬼殺隊じゃないだろw」
由羅「!!」
身体が震える
戦闘を拒否しているかのように
鬼「気配が弱そうだしなぁw」
鬼「なのに刀を持っているのはどういうことだぁ?」
由羅「私は…鬼殺隊だよ」
震える口で言葉を綴る
ちゃんと声が出ているのか自分でもわからない
鬼「生意気な娘だなぁw」
男「ひっ…」
鬼「…ま、まずはこいつらから喰ってやろうかw」
そんなことさせるか!!
由羅「水の呼吸、壱の型!」
由羅「水面斬り!!」
カキンッ
奴の腕すら斬れなかった
やはり、私には水の呼吸は扱えない
鬼「今何かしたか?」
由羅「…何も」
一瞬で元の位置に戻り、動いていないかのように見せる
だが、鬼が彼らの方を向いたのと同時に間合いに入る
由羅「炎の呼吸、壱の型!」
由羅「不知火!!」
パキンッ
え、
嘘、
刀…折れた、?
鬼「…はっw」
鬼「やっぱりそうだ、おめえ呼吸使えねえんだろ?w」
由羅「…っ!!」
鬼「だから刀が折れるんだよ、おめえは才能がねえからなw」
やっぱり、私に才能なんてなかった
私は、姉さん達のようにはなれない
私は…
鬼「さあてと…w」
女「いやあああ!!!助けてえええ!!!」
由羅「だめ…っ」
そう思って彼らの方を見ると、2人は抱き合って泣いていた
愛…
風華『由羅は…由羅の信じた道を行きなさい』
いつしか姉さんに言われた言葉を思い出す
それと同時に、私の心に熱い何かが溢れ出す
由羅「はっ!!!」
思うがまま刀を振る
ズシャッ
鬼「なっ!?」
折れた刀身でも、鬼の腕を斬ることができた
由羅「見つけた…!」
これが私の呼吸…!!
鬼「おめえ何をした!?」
由羅「ただ見つけただけだよ!!」
もっと…
もっと熱く!!
誰かへの愛を!!
愛情を深めてっ!!!!
**愛の呼吸**
由羅「私は私の道を進む…」
**壱の型**
由羅「かつて、|あの方《姉さん》がそうしたように!!!」
踏み込み相手の首に向かって真っ直線に突撃する
鬼「…桜!?」
由羅「**|桜花恋愛斬り《おうかれんあいぎり》**!!!!!」
鬼の首は桜のように舞い上がり消えていった
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ガラガラ
風華「遅いじゃない!羽音も心配していた…」
姉さんは私を見て言葉を止めた
折れた刀
あちこちにできた傷
風華「…鬼に会ったの、?」
由羅「うん、」
由羅「あの、姉さん」
由羅「ありがとう」
由羅「私を見つけてくれて」
そう言うと姉さんは驚いた顔をして、
優しい笑みを浮かべて頷いてくれた
風華「行きましょう、最終選別へ」
如月由羅過去編 完
由羅ちゃんの呼吸特殊ですね…
次はマコトちゃんです!!
ではおつなこ!!!