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空色の折り紙と、僕らの魔法
実は私は、「水頭症」という(水頭症(すいとうしょう)とは、脳の中にある「脳脊髄液(のうせきずいえき)」という水のような液体が異常に増え、脳を圧迫してしまう病気です。)病気を持っていて、皆さんに少しでも知ってもらいたくてこれを書きました。
第1章:2人のアイコトバ「おもたーい予報」
病院の長い廊下は、いつも少しだけ消毒液の匂いがする。私は自分の陰を踏まないように、ゆっくり歩く。そうしないと、頭の中の「おもり」がぐらぐらと揺れてしまうから。「水頭症」それが私の病気の名前。目には見えないけれど、時々ずっしりと重たい石が居座る。11歳の私にとって、その重さは明日を怖がらせるのに十分な重さだった。「ここなちゃん、今日は「おもたーい予報」出てる?」後ろからひょっこり顔を出したのは、担当看護師の西洸人。彼は、私の唯一の味方だ。「うん、すごく重たい…」私が弱音を吐くと、彼は、「半分こして持ってやろうか?笑」と力こぶを作る真似をした。「俺、筋肉あるから余裕だぜ?笑」彼の力強い声を聞くと、頭がふわっと軽くなるような気がした。
第2章:黄色い花と、魔法の指先
その日の午後、プレイルームでは「青空夏祭り」が開かれ、洸人ナースの仲間のINIメンバーナースが勢揃いしていた。人混みが怖くて立ち止まる私を、洸人くんが窓際の席まで運んでくれた。「わぁ!ここなちゃん!待ってたよ!」黄色いTシャツの柾哉くんが隣に座った。「僕、聞いたよ?ここなちゃん、折り紙の魔法使いなんだって?」私は照れながら彼に一輪の黄色い花を折った。「これ、宝物にするね。」柾哉がそういうと、洸人はわたしの肩を優しく抱いた。「ここな、明日が怖くなったら、この花思い出せ。俺も、柾哉も、みんなここなの魔法を信じてるから」
第3章:1番近くにいた声
当日の朝、窓の外は雨で、わたしの「おもたーい予報」は最高潮だった。ストレッチャーで運ばれる廊下、私は小さく「怖いよ」とこぼした。その手を、洸人が握りしめた。「大丈夫。ずっとここで待ってるぞ。」ゆっくりと手術室の扉が閉まった。
どれくらい時間が経っただろう。
「ここな、聞こえるか?」目を開けると、そこには普段の彼からは想像のつかない泣きそうに笑う洸人がいた。「おかえり、ここな。」彼の声は珍しく少し震えていた。私はゆっくりと頭を動かす。あんなに重かった頭が、すうっと軽くなった。
第4章:空色の約束
数日後、私がリハビリで折り紙を折っていると、メンバーが駆け寄ってきた。「おかえり!」柾哉はあの日の「黄色い花」を持って笑いかけている。「ありがとう。みんなに、これ」私は、雨上がりの澄んだ空と同じ、「空色」の鶴を差し出すと、洸人がひょいっと受け取って、肩に乗せた。「よっしゃ!これでここなの完全復活!じゃあ約束通り今からINIのダンス練習始めるぞ!!」「えっ!?今から!?」私が笑うと、みんなも笑ってくれた。窓の外には、折り紙と同じ、「空色」の景色が広がっていた。