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ふたりの秘密
優は、僕の太陽だった。
先生による号令が響いたあと、優は誘ってくれた。遊びに。あの優しいほほえみで。
僕はクラスで孤立していた。
元々、人付き合いは得意じゃないのだ。
幼稚園の時だって、僕は一人で花壇のそばで遊んでいた。保育士さえも僕のところに来なかった。
でも優は見捨てなかった。
優は、連れていってくれた。
『秘密の場所』に。僕と優だけの秘密の場所。
小さな団地の草の奥。ちっぽけな場所。
だけど僕にとってそこは宇宙よりひろかった。
優と、待ち合わせた。
毎日、毎週、毎月。もう誘わなくても来ることが日課となっていた。
『秘密の場所』で優と毎日話して、笑って、歌って、時には悲しんで、愚痴をこぼしたり楽しかったな。
でも家族の話は優はしてくれなかった。
優は、ある日からぴったり来なくなった。
毎日、毎週、毎月。学校でもあまり喋りかけてくれなくなっていた。
でも僕は『秘密の場所』でずっと優を待ち続けた。
『秘密の場所』で僕だけ待って、待って、待って、待ち続けた。
卒業の日までもこなかった。
優は、十数年後『秘密の場所』にきた。
『秘密の場所』で優は謝って、泣いて、叫んでいた。
ぽつりと家族の話をし始めた。
僕は優の闇に触れた。
藤沢 優 この男は親に恵まれていなかった。
父は浮気して離婚。
母方に引き取られたがそれはそれは厳しく。
進路は決められ、遊ぶ友達も決められ、愛す人も決められ、優に自由はどんどんなくなっていった。
僕との秘密は秘密じゃなくなって僕は遊ぶ人から除外されてしまった。
たしかに優は関わっていない人がちらほらいたね。
本当は関わりたいはずなのに。
でも優が来なくても、僕はずっとここにいたよ。
優は、『思い出の場所』に花を添えた。
小さな団地の草の奥、ちっぽけ場所に。
そして僕が昔、見てた花を。
一人称俺の方がよかったかな。