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#14 中也の素敵な一日
「文豪ストレイドッグスわん!」の内容です。
連載中である「英国出身の迷ヰ犬」の番外編になります。
オリキャラ注意。
一応、最終話。
英国出身の迷ヰ犬
https://tanpen.net/novel/series/dbc4b7a3-d5a6-4927-bd3f-8e75383d3519/
中也side
おいおいおい、嘘だろ…?
勘弁してくれよ。
こんなあからさまに大荷物でございます、ってばーさん初めて見たぜ。
大丈夫か?
「オイばーさん、だいじょう…」
って、俺はマフィアだぜ。
慈善家じゃねェ。
「……。」
ばーさんはふらつきながら歩いていく。
「有難いねぇ」
無視することは出来なかった。
「お兄さんが一寸支えてるだけで、荷物が羽みたいに軽くなっちまったよ」
「あーそうかい」
俺は『汚れちまった悲しみに』を発動している。
「まるで異能だねぇ…若しかしてお兄さん異能力者かい? なんちゃって…」
「手伝って欲しけりゃ黙って歩きな、ばーさん」
「おぉ、ごめんよぅ。つい嬉しくてねぇ。アンタぐらいの年頃の孫が私にも…」
もしかして居るのか?
「居たら良かったんだけどねぇ」
「居ねぇのかよ!」
くそっ、こんなとこ誰かに見られたら…
「……ぁ」
ルイスside
鏡花ちゃんが夕食を一緒に食べないか誘ってくれた。
断ろうかと思ったが、敦君曰く邪魔にはならないらしい。
一食多く作るのも変わらないと言う。
僕の最近の食事と言えばサプリか、栄養を簡単に摂れる奴。
そう言ったら鏡花ちゃんの顔が怖くなった。
無言で圧を掛けてくる。
夜叉白雪で連行されそうになった時は本当に焦った。
|異能空間《ワンダーランド》に逃げようかと思ったぐらい。
「すみません、異能空間に入れさせてもらって」
「気にしなくていいよ」
僕は敦君と買い出しに来ていた。
夕飯をご馳走になるということで、食材代ぐらいは出させてもらったのだ。
それに、あそこは時の流れが現実とは違う。
冷蔵も冷凍も、どれだけ買ってもゆっくり買い物が出来るのだ。
「──あれ?」
見覚えのある帽子がお婆さんの後ろに見えた。
僕が足を止めると、もちろん敦君も止まる。
あ、こっち見た。
「ど、どうも〜。こんにちは、さようなら、」
「おい待て探偵社の! それにルイスさん!」
スタスタと逃げようとする敦君の肩が中也君に掴まれた。
僕は元々逃げるつもりはなかったので、その場に立っている。
「違ぇんだよ、これはお前…」
「別に僕ら、勘違いなんてしてないよ?」
「そうですよ! 恐ろしいマフィアと言っても、優しい所もある温かい人なんだってちゃんと判りました!」
「それだよ|手前《テメェ》!」
敦君の天然(?)が発動。
中也君は困惑した。
「いいか、良く聞けよ。俺はポートマフィアだぞ!? 目的のためなら汚い事だってする! 悪だ! それがだ! 荷物抱えたばーさんを助けましただぁ? かっこ悪いだろうがー!」
「現在進行形で人助けしてる人が何か言ってるー!」
「ルイスさん!?」
どうして煽るようなことを、と敦君はオドオドしていた。
中也君の矛先が敦君に向いたところで、僕はお婆さんに話し掛ける。
「いやぁ、嫌がらせの為とはいえ其処までやるなんて、ある意味尊敬するよ」
「おや、何のことかねぇ?」
僕はため息をつくことしか出来なかった。
「手前、このことは誰にも言うなよ。特にアイツだ! あの野郎には絶対言うな!」
「だ、太宰さんのことですか?」
「アイツがこれを知ったら数年はからかってくるだろうよ」
その時、うふふとお婆さんが笑った。
中也君は少し前から荷物に異能力をかけていない。
「あれ、そういえばお荷物大丈夫なんですか…?」
「平気さ、敦君」
メリッとお婆さんの顔が《《剥がれた》》。
中から現れたのは太宰君。
もちろん中也君はお婆さんが太宰君だなんて微塵も思っていない。
声にならない声が街に響いた。
「私の変装技術も捨てたものじゃないだろう?」
「骨格から変わってましたよね!?」
「僕には判ったけどね」
「何でですか!?」
敦君のツッコミは今日も健在か。
「本当は優しくてあったか〜い中也君について、探偵社に報告しようか」
「いや、僕らは社員寮に帰るから」
じゃあね、と敦君と歩き出す。
後ろからは色々と物騒な声が聞こえたが、聞こえないふりをし聞こえないふりをした。
短い?
私もそう思います。
さて、ここでクーイズッ!
なぜ今日の小説はこんなに短いでしょーうか!
ヒントは本編が短くて増やそうとしたけど、良いのが思い浮かばなかったから!
あ、答え言っちゃった☆
てことで、まえがきでも言いましたが『一応、最終話』です。
春休みが終わる、ということで『わん!』はこれで終わります。
次が『文スト保育園』だったんですけど、元の予定であった14話で終わらせていただきます。
もしかしたら、夏休み企画とかで続きを出すかもしれません。
まぁ、その頃にはもっとルイス君について明かされていることでしょう。
それでは、またいつか平和な『わん!』の世界でお会いしましょう。
以上、海嘯でした。