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諦めの悪さで損をする1
授業中、教室を抜け出して旧校舎の保健室へ向かった。この組織は、みんなが忘れてしまったこの楽園を拠点にしている。
|「…おや、ご主人様。おはようございます」《慶治》
|「今日はたくさんお話しできるね!」《 凪》
構えていた銃口を下ろし、慶治はお茶を淹れに凪は棚の奥にあるお菓子を取りに向かった。
|「このお菓子は小春が選んだから間違いない」《 凪》
|「…ちょっと、プレッシャーかけないで」《小春》
舌に自信がある小春の雰囲気にのまれた凪も、自信ありげにお菓子の缶を軽く叩き話し始める。
|「私より食満さんとか」《小春》
|「え?僕?」《真斗》
|「確かに、食満はケーキ屋だし」《紅季》
|「ちょっとボス、元ですからね」《真斗》
書類を書いていたボスの紅季が、小春や凪に挟まれた真斗をからかった。
|「ねえ?今日も集まってるの少なくない?」《 》
|「皆んな東の事件に集中してるようですよ」《慶治》
|「え?まだ続いてるの?」《 凪》
|「もう一週間、そろそろ私たちも?」《紅季》
|「ボスの仰せのままに」《小春》
書いている途中の書類はどうやらその事件の犯人についての情報らしく、よそ見をしながらクッキーを食べる。
|「それにしても、凄腕が14人も集まってるのにどうして解決しないのか」《 》
|「…今回は敵1人なのにも関わらず」《真斗》
|「お手並み拝見といきましょうか?」《慶治》
|「慶治、真斗。まだクッキーを食べようよ」《紅季》
|「結局、また影狼と楽しく話せなかった!」《 凪》
レーズンクッキーだけひどく残されたクッキー缶と文句を言いながら項垂れる凪を、紅季は見つめた。