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全てはここから始まった
長いです。
『それでは、次のコーナー、そこ調のお時間です。』
ジリジリとした暑さに私、|百瀬穂乃花《ももせほのか》はつい、手で顔を仰ぐ。
『今回は、駅前で突撃!カップルに聞いてみた!』
「…カップル、、。…、恋ねぇ…。。」
私は家を出る準備をしながら、テレビに顔を向けた。
「…まあ、私には関係ないことだけど。」
鞄を背負い、玄関に向かって駆ける。
「…、行ってきます。」
そして重たいドアを開けたのだった。
---
まだ朝というのにジリジリとした暑さのなか、私は通学路を歩く。
私、百瀬穂乃花はごぐ普通の高校生だ。あ、名前紹介ニ回目かな。まあいっか。
しかし、私はその『ごぐ普通』のなかでさらに細かく分類されている女だ。結論から言うと、人との人間関係を創るのが苦手。男子は勿論、女子も苦手な女の子、ということだ。
--- しかし、私には友達がいる。 ---
「…よっす〜!ほのかおはよ〜!」
「おお…。。おはよう…。」
「いや、元気ないなおい!初対面じゃないんだからっ。3ヶ月前から友達ですがっ!?」
「いや、論破されると困るんだけど。」
このコはさっき言った通り、私の友達の|清水綾《しみずあや》。元気すぎて、正直ビビる。
「いや引くなよ。」
でも面白いし優しい。こんな私を友達にしてくれるくらいだから。綾にはいつも感謝している。いや感謝してもしきれないほどだけど。
「てかさ〜、聞いた?」
「何を?」
「ペアリング制度!今日からやるんだって〜。」
--- は? ---
「ぺ、ぺありんぐ…?」
「そうそう…って戸惑ってんなおい。」
「そりゃ戸惑うでしょ。」
「そっか。ほののんのことだしな。」
「納得すんな。てかほののんって。」
「いじり甲斐があるな〜、ほのかは。」
そんなくだらない話をしてると、学校に着いて…ってかくだらなくないだろ!ペアリング制度とかもう死亡案件イベントだろこれ!
「は〜!どんな感じなのかなー!」
「死んだ。終わった。」
「終わらすな。」
う。なんかまともな人と繋がりますようにっ…!
そう、私はしぶしぶ願うのだった。
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教室に着くと、私達はお互いの席に向かっていった。ちなみに綾の席は私の席と結構離れている。うう。周りの視線が痛い。
すると、
「はい。皆さん席ついて〜。」
担任の|佐島《さとう》先生が突然教室に入り、皆に促した。静かになると、佐島先生が話を切り出した。
「…はい、ということで。今日は待ちに待ったペアリング制度の始まりですよぉ〜。」
のほほんとした声で自らの手を取りながらそう話す。
「ペアリングは『奇跡的マッチング』。なので、これから運試しをしてもらいまぁす。皆さんこの箱から一つ紙切れを引いてくださいね。」
紙切れって。
「そしたら、同じ番号の方とペアリング、といった形になりますぅ。うふふっ、どうなるか楽しみですねぇ〜。」
てか運なんだ。安易だな、この学校も。てゆうかなんでこんな制度作ったんだよ。校長頭おかしいのか。
「それでは、出席番号順にどぉぞ。」
先生は話を止める。すると、皆は並び始めた。気がつけば、私の前には箱があった。
ごくり
私は決意をし、思いっきり、一枚紙を取り出したのだった。
---
「皆さん引けましたかぁ〜?それでは、番号の同じ人とマッチングすたぁと!」
私の手元には29番の数字。
うう、探したくもない。
あわあわしていると、もう複数人はマッチングしているらしい。そこには綾の姿もあった。
アイツ、仲いい男の子と一緒になりやがって…。
そう心の中で恨んでいると、突然目の前から大きな声が聞こえた。
--- 「29番の人いますかっ!」 ---
--- 「!?」 ---
その人の掲げた手には大きく『29番』の数字が刻まれている。
--- え…?! ---
やっと理解した。
--- ぎゃ、ギャルっ!!?? ---
ギャルだった、のだ。
はじめまして、寧依と申す者です。
初小説ということで結構長めに書いてしまいました。もう、楽しすぎて。
感想も下さると励みになりますので、良ければ。
それでは、また次回会いましょう!
この度はご愛読ありがとうございました。