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四日目の朝・4
エース(人狼or狂人)
「オレはどうすっかな。占い師以外を占ったって、どうせ村人判定しか出せねえし……」
ルーク(霊媒師)
「いや、ムシュー・ハートはもう誰も占わなくていい」
エース(人狼or狂人)
「え?」
ルーク(霊媒師)
「投票先の指定がまだだったね。私はキミを処刑したい!」
エース(人狼or狂人)
「……は!? なんで!?」
マレウス(村人or狩人)
「……そうか。もう占い師を処刑していかないと、人狼を一人、野放しにしてしまう」
監督生(妖狐)
「あー……そうだった」
デュース(妖狐)
「ど、どういうことだ?」
監督生(妖狐)
「最終決戦には、最低でも三人は残さないといけない。つまり犠牲にできるのは、五人まで」
デュース(妖狐)
「ああ。最初にジャックが言ってたな」
監督生(妖狐)
「今日の処刑で一人。今夜で一人。明日の処刑で一人。その夜で一人。明後日の処刑で一人。一人ずつ消えていくと、明後日の処刑までが限界なんだ。そして人狼を消せるのは、朝の処刑のタイミングだけ。そして処刑できるチャンスは、あと三回だけ」
デュース(妖狐)
「……その三回だけで、すべての人狼を殺らないといけないのか!」
監督生(妖狐)
「確定人狼のケイト先輩は退場してるから、残り二人の人狼を、その三回だけで仕留めていかないといけないんだよ」
リリア(人狼)
「妖狐がいるかもしれないからと、いつまでも占い師を残していては、人狼の思うがままになってしまうのか……」
ルーク(霊媒師)
「妖狐がいるいないに関わらず、私たちはもう、占い師を処刑していかなくてはならないのさ」
エース(人狼or狂人)
「それはわかったけど、なんでオレから!? オルトもエペルも本物だって決まってないのに!」
ルーク(霊媒師)
「ムシュー・ハートはもうすでに占い師以外の人狼を見つけられている。使命を果たした者は、退場していく運命にある……! ああ! 皆のために命を散らすなど……なんて儚く、美しいのだろう!」
ジャック(村人or狩人)
「つまりエースはもう用済みだから消えろってこった」
エース(人狼or狂人)
「くそ〜〜〜〜!」
マレウス(村人or狩人)
「トラッポラを本物と見ている僕はあまり賛成できないが……」
リリア(人狼)
「これはチーム戦じゃ。勝利のために、命をささげねばならんときがある」
マレウス(村人or狩人)
「……仕方がない」
エース(人狼or狂人)
「あーもう! わかったよ! 煮るなり焼くなり好きにしろ!」
エペル(占い師)
「じゃあね、エースクン!」
オルト(人狼or狂人)
「さようなら、エース・トラッポラさん!」
エース(人狼or狂人)
「すげえいい笑顔だな、お前ら!!」
デュース(妖狐)
「やっと対抗がいなくなるからな」
監督生(妖狐)
「投票先も決まりましたし、これで話し合いは終わりですね」
ルーク(霊媒師)
「いや。まだだよ」
エペル(占い師)
「他に何か?」
ルーク(霊媒師)
「狩人が守る先を決めていない」
監督生(妖狐)
「え? まだ狩人いますかね」
エペル(占い師)
「どうかなあ。僕視点だと、まだ生きてる狩人候補は、ジャッククン、マレウスサン、リリアサン、デュースクンと監督生サンの四人だけど」
オルト(人狼or狂人)
「僕視点でもその四人だよ!」
エース(人狼or狂人)
「オレ視点なら、デュースと監督生を抜いた三人だわ」
ジャック(村人or狩人)
「俺視点……まあ俺は狩人じゃねえから、ただの村人視点だな。マレウス先輩、リリア先輩、デュースと監督生の三人が生き残ってるな。そんで死んでる狩人候補は、レオナ先輩、セベク、ヴィル先輩。三人は死んで、三人は生き残ってて、ちょうど半分。狩人が生き残ってるかは微妙だな」
デュース(妖狐)
「というか、生き残ってたとしても、守る先なんてハント先輩一択だろ」
オルト(人狼or狂人)
「でもルーク・ハントさんは話し合いを続けたがってるよ? ……まさか、誰か守ってほしい人がいるの?」
ルーク(霊媒師)
「いない」
リリア(人狼)
「……どういうことじゃ?」
ルーク(霊媒師)
「もう、私を守らなくていい。誰を守るかは、狩人にすべて任せるよ」
オルト(人狼or狂人)
「え!? いいの!? 確定霊媒師なのに!」
エペル(占い師)
「残ってくれたほうが、次の朝にエースクンが人狼かどうかわかりますよ!?」
エース(人狼or狂人)
「オレを信用して……るわけじゃなさそうですね」
ルーク(霊媒師)
「もし私が生きて翌日をむかえて、ムシュー・ハートが村人だったと判定したとしよう。なら残りの二人のどちらが本物か。あるいはムシュー・ハートが本物だったら、残りの二人は狂人か人狼のどちらになるのか。どちらにしろ、まず間違いなく争う。占い師以外の人狼もまだ残っているのに、だ」
デュース(妖狐)
「次の日の話だから、処刑できるのはあと二回になっていて……そのうちの一回は占い師以外の人狼に使わないといけないから、あと一回は確実に、占い師から人狼をあぶり出さないといけない……」
マレウス(村人or狩人)
「未確定要素が多い中での、占い師同士の争いはまぬがれない」
デュース(妖狐)
「争った末にめでたく人狼を処刑できたとしても、次もハント先輩に生き残ってもらわないと、そいつが人狼なのかもわからない。そんな不安定な状態で、三人目の人狼も見つけろ……ってことか?」
監督生(妖狐)
「いや、そこまでいったら、もうルーク先輩とか関係ないよ。もし外れたら、人狼が二人、生き残ってるんだよね。あと一回の処刑で二人の人狼を殺れないし」
デュース(妖狐)
「あ、そうだった」
監督生(妖狐)
「いちおう、狩人が守り続けてくれれば、村人陣営の数を減らさないまま、処刑の回数は増やせるけど……」
ジャック(村人or狩人)
「毎回、ドンピシャで守れと? 現実的じゃねえよ。ただでさえ一回も守れてねえのに」
リリア(人狼)
「きっついのう……」
デュース(妖狐)
「あまり……いい状況ではないな」
ルーク(霊媒師)
「ではムシュー・ハートが人狼だったと判定したとしよう。その時点でムシュー・ハートが二人目の人狼だと確定。残った占い師二人の内訳も『本物の占い師』『狂人』だと確定するね」
エペル(占い師)
「確定が続いて、いいことですね」
ルーク(霊媒師)
「人狼判定が出れば、ね」
エペル(占い師)
「……」
ルーク(霊媒師)
「二人のどちらが本物の占い師か、の話になるのも確定するね。さあ! そうなったら……キミたちはどちらの味方をするんだい?」
マレウス(村人or狩人)
「小さいシュラウドを信じているのは……誰もいないな」
オルト(人狼or狂人)
「ヴィル・シェーンハイトさんがいてくれたら……うう……」
リリア(人狼)
「わしとルークはいちおう中立じゃから、状況によってはオルトの味方になるかもじゃが……」
監督生(妖狐)
「ねえ、ツノ太郎。ツノ太郎はエース派だけど、エースがいない翌日からは、誰を信じるつもり?」
マレウス(村人or狩人)
「トラッポラに人狼判定が出たのなら、消去法でフェルミエになる」
監督生(妖狐)
「あ、そっか。ツノ太郎視点だと、オルトも偽物になってるんだった」
ジャック(村人or狩人)
「ってなると……エペル派は、本人のエペル、俺、マレウス先輩、デュースと監督生の四人。オルト派は、本人のオルト一人だけ。中立は、ルーク先輩、リリア先輩の二人。その二人は、状況によってはオルト派に変わるが、だとしても四対三でエペル派の勝ち」
監督生(妖狐)
「エペル派の誰かが夜に死んだとしても三人は残るから、三対三で引き分け。エペル派が多数決で負けることはない」
リリア(人狼)
「わしらは中立じゃぞ? オルト派ではなくエペル派に変わるかもしれんぞ。そのときはエペル派の圧勝になるだけじゃが」
監督生(妖狐)
「……かなりいいことですね」
ジャック(村人or狩人)
「エペルが偽物だったときのリスクはあるが、意見がまとまらねえより、ずっといいな」
エペル(占い師)
「やっぱりルークサンは生き残るべきですよ!」
ルーク(霊媒師)
「ムシュー・ハートに人狼判定が出れば、ね」
エペル(占い師)
「……」
マレウス(村人or狩人)
「……お前の言いたいことはよくわかった」
ルーク(霊媒師)
「キミから聞かせてくれるかい? 竜の君!」
マレウス(村人or狩人)
「単純計算すると、トラッポラに人狼判定が出る確率は三分の一。その中でフェルミエが本物の占い師になる確率は二分の一。合わせて六分の一にしかならない勝率のためだけに、他を見殺しにしてでも、ハントを生かすべきか?」
エペル(占い師)
「そう……言われると……」
マレウス(村人or狩人)
「翌日の占いの結果によるだろうが、結局はハントが生きていても、死んでいても、もうロジック勝負には持ち込めず、信用勝負になる。ならば村人陣営である狩人だけでも、信用できる者が、生きて、そばにいれば良い。……そういうことだろう」
ルーク(霊媒師)
「そうだとも!!」
オルト(人狼or狂人)
「信用できるかどうかという話なら、確定霊媒師のルーク・ハントさんのほうがいいと思うけど……」
ルーク(霊媒師)
「そうかな? 役職で信用できたとしても、判断も正しいとは限らないよ。それよりもずっと、信用できる者というのは……理屈ではない。心だと、私は思っている」
デュース(妖狐)
「心……」
ルーク(霊媒師)
「確定役職ではなくとも! 心から信用できる者が下した判断は、強い剣になる。その剣を持った狩人は、騎士へと変わる! 騎士だけではないよ。村人陣営だろうと、人狼陣営だろうと、妖狐陣営だろうと、心を支えられた者は、運命を……より良い方向に変えていく。それがどの陣営の勝利に導くかは、誰もわからない」
監督生(妖狐)
「……えーと、つまり?」
ルーク(霊媒師)
「信じる心のままに、動けばいいのさ」
リリア(人狼)
「ほう……! わかるような、わからんような!」
エペル(占い師)
「と……とりあえず、狩人は好きな人を守ればいいんですね?」
ルーク(霊媒師)
「そうだよ。私の話はここでおしまい。他に何か言いたい者はいるかい?」
エース(人狼or狂人)
「特にないっす」
ルーク(霊媒師)
「おや。遺言も?」
エース(人狼or狂人)
「煮るなり焼くなり好きにしろって言った手前、いさぎよく散らないとカッコ悪いでしょ!」
ルーク(霊媒師)
「エースくんは仲間を信じるのだね! ボーテ! 信じる心はきっとキミの糧になる!」
マレウス(村人or狩人)
「他に何もないのなら投票に入るぞ」
リリア(人狼)
「その前に確認じゃ! オルトとエペルはわしを占うんじゃよな?」
オルト(人狼or狂人)
「うん!」
エペル(占い師)
「はい。占います」
リリア(人狼)
「うむ! わかったぞ!」
ルーク(霊媒師)
「では、話し合いはここで終了だ! キミたちに祝福あれ!」
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──話し合い終了。投票に入ります。
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監督生(妖狐)
『よし、エースに入れるよ』
デュース(妖狐)
『ああ……』
監督生(妖狐)
『……どうしたの、デュース。なんかボンヤリしてない?』
デュース(妖狐)
『あっ!? いや! そんなことないぞ!』
監督生(妖狐)
『ならいいけど……』
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──投票終了。投票結果発表。
デュース&監督生→エース
エース→ オルト
ジャック→ エース
エペル→ エース
オルト→ エース
ルーク→ エース
マレウス→ エース
リリア→ エース
エース 七票
オルト 一票
──エース・トラッポラを処刑します。
──四日目の朝が終了しました。